夢の中へのノクターン

□儚く散った、
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※千鶴独白
※ノーマルED微妙に捏造あり










静粛を纏った空気の中、千鶴は荒れ果てた大地に佇んでいた



散らばるボロボロになった「誠」の旗

揺るぎない決意を抱いて戦い抜いた証と言っても過言ではない




彼らが形として描かれたような旗を抱き締めながら啜り泣く







頭の中では彼らとの日々が回想されるばかりで、

千鶴には、これからが見えなかった






いつも戦っていたあの人達の姿は自分の記憶でしか映し出せないのだ、そう思うだけで涙は溢れるばかり







きっと世間は儚く散った彼らを憐れみ、不幸だと言うのだろう、



「……違…う…っ」

口を開ければ涙が入って口の中が少し、しょっぱくて苦い






違う、違う、


確かに彼らは儚く散ったかも知れない

それは不幸にしか見えないかも知れない



けれど近藤さんの為に、近藤さんがいたから戦えた、

子供みたいに笑ったり、

誰かの為に尽くせることを喜びに感じたり、

仕事が成功すればいつも喜んで、

巡察が休みなら出掛けたり、




そんな彼らを見てきた私には、それまでも不幸などと断言することは出来なくて


最期まで戦い、この結末を迎えた彼らの声が聞こえたら、

聞けたら、



彼らは不幸などと言っただろうか、





何事も無かったかのように大地は新たな命と共に自然を育み
連動するかのように、いつか人々の中から消えていくのだろう


(……私が覚えてる)



癒えることの無い深い深い悲しみを


(あぁどうか)


この空に還った彼らが、また翔べますように


枯れた花が、また咲けますように








(けれど咲けたから散ったことを忘れないで)






fin



*********

儚く散ったから悲しいのではない
まだ咲けたかも知れないから悲しいのだ

だから自分の中では"幸せにしたい"のでは無くて、"もっと幸せにしたい"なのです。…屁理屈混じりの偏見的な意見です。

BGMは「天/空のカ/ナリ/ア」




 

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