天使の恋心ブック
□燃え上がる怒り
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「まだ面会は無理だそうだ…」
皆を代表して行ってきた円堂、染岡、紅葉、秋、夏未は外で待っていた部員達に報告した
「命に別状は無いらしい…」
『だけど…サッカーを続けられるのかどうかって…』
〔!!〕
円堂の後に続けた紅葉の言葉に一同は言葉を失った
「そんな…!!五郎は何故こんな事に!?」
栗松が尋ねたが円堂達は黙り込んで口を開かず、染岡が重々しく口を開いた
「…救急車を呼んでくれた人の話によると…」
〜早朝〜
「ほーぅ、朝から頑張るのぉ…」
特訓マシーンで練習する多摩野を見て感心した老人は言葉を掛けた
「!!危ない!!」
「!!うわぁぁぁぁぁ!!」
バギッ!!と言う音がした後に、特訓マシーンはガラガラと音を立てて崩れ落ち、多摩野は下敷きになってしまった
老人は慌てて多摩野に駆け寄った
「ひゃあ、こりゃ大変じゃ!!少年!!大丈夫か少年!?」
「うぅ…試合に…行かなくちゃ…フットボール…フロンティア…に…」
ボロボロになった多摩野のジャージを握り締めて、風丸は目に涙を浮かべた
「そんな…ギリギリまで練習してたなんて…ジャージもボロボロだ…」
「五郎…」
皆が涙を浮かべる中、豪炎寺は固く瞳を閉じて歯を食い縛り、場の空気を変える様に声を張り上げた
「落ち込んでる場合じゃないぞ!!試合時間は迫ってるんだ!!」
〔!!〕
『豪炎寺君…!!』
「急げ試合だ!!バスに乗れ!!」
皆は豪炎寺の怒鳴り声に従ってバスに乗り込んでいったが、円堂は未だに青ざめてその場に立っていた
豪炎寺はそんな円堂に気付いて声を掛けた
「行くぞ円堂!!」
「あぁ(そうだ…今は試合を頑張らなくちゃ…だけど、だけど…五郎ー…)」
歯を食い縛り涙を流す円堂を見て、紅葉は1度バスを降りて円堂に近付いた
『円堂君…行こう。五郎君の分も頑張らなきゃ』
「更級…そうだな、行こう」
円堂は小さく頷いてバスに乗り込み、紅葉も後に続いた