天使の恋心ブック
□束の間の休息
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稲妻総合病院内のとある病室内で、多摩野は手に持った時計を見ながら呟いた
「もう試合は終わってる頃だ…皆勝ったかなぁ…」
その時、病室の扉が音を立てて開いた
「勝ったぜ五郎ー!!」
「皆!!」
一斉に入ってきた部員達は多摩野に駆け寄り、円堂が皆を代表して報告し始めた
「始めは苦戦したけど、豪炎寺と壁山の新必殺技で得点出来たんだ!!その後は更級と豪炎寺の活躍のおかげで3ー2の逆転さ!!」
「うぅ…良かった…すみません皆に迷惑かけて…」
泣き始める多摩野に円堂が涙を浮かべながら声を掛けた
「何言ってんだよ!電話で聞いたぞ!!サッカーまた出来る様になるそうじゃないか!!何よりだよ!」
「でも暫くリハビリが必要だそうです…皆とフットボールフロンティアに出たかったですけど…」
『焦っちゃ駄目だよ五郎君、しっかり怪我を治さなきゃ。早く怪我を治して、そして治ったらフットボールフロンティアで一緒に戦おうよ!』
「え!?」
紅葉の言葉に、多摩野は驚きの表情を浮かべた
「その通りだ。それまで俺達は負けやしない、ずっとずーっと勝ち続ける。ずばばーんと俺達に任せとけ!!」
「はい!!」
多摩野は円堂の言葉に泣きながら頷いた
『そうだ五郎君、次にお見舞いに来る時はお菓子作って持って来るね』
「お菓子…ですか?」
『うん、私お菓子作るの好きだからよく作るの。頑張って美味しいの作るね』
「わぁ、有難う御座います!」
にっこりと微笑む紅葉につられて多摩野も笑った
「更級…」
円堂が紅葉の肩を軽く叩いて呼び掛けた
『何?円堂君』
「それ…俺の分もあるか?」
紅葉に尋ねる円堂の目はキラキラと輝いていた
『皆の分も作るよ、食いしん坊だね円堂君は』
紅葉の言葉にその場にいた全員が笑った