過去拍手

□#11 冴島 call
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RRRRRR…


「…も、もしもし」


『俺だ』


「ハイ…」


『今何してた?』


「別に、何にも」


『そうか』


「そうです」


『……』


「……」


『まだ拗ねてんのか』


「…別に拗ねてないです」


『拗ねてんじゃねーか』


「拗ねてません!!」


『ダンマリの次は口答えか?』


「っ!だってそれは先生がっ」


『あ?誰がだ?』


「せ……由紀が…」


『俺がなんだ』


「……」


『言え』


「き、きれいな人ですね!私との約束なんか、キャンセルして当然なくらい」


『…悪かった』


謝んないでよ。


『約束をキャンセルしたのは悪かった。けどな、言っただろ、あの女はそんなんじゃねえ』


「じ、じゃあ、なんなんですかっ」

白いノースリーブのワンピースに、まとめ上げた髪。

もしかしたら由紀より少し年上かもしれない。

ふたりで花を選ぶ姿は、一瞬で目を奪われるほどきれいで、お似合いで。


『ハァ…』



受話器の向こうから、盛大なため息。





『あれはな』





ゴクリ。





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