SAお題小説
□3人の思い出
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「飛菜、彼はきっと、言おうとしたこと忘れたんだよ。」
妃遥さんが見下した目で男子を見ながら言った。
「マジで?『もう、ボケ始めてるんじゃないのぉ?』…ってこと?」
飛菜さんも妃遥さんと同じ目で男子を見ながら言った。
………いや、飛菜さんは面白がってる?
そして彼女達は、けっこう前からいたのね。その言葉をさっき言った人がいた。
じゃあ、さっきの妃遥さんの『うわ。』は、彼らのことかしら…?
「な、なによ!いい子ぶっちゃって!」
さっき私に、『もう、ボケ(以下略)』を言った子が苦し紛れにそう言った。
「は?何言ってんの?」
「悪魔だよ。」
…え?
「今日は誰を、」
「ねっ」
「いじめちゃお?」
もしかして…悪マ●ン?
「いーつーも、生意気、」
「きいろーい……ってあれっ、黄色いイガイガ頭いないや。」
「まあ、いっか。」
…変な二人。
「はあ、いいことないなー。」
突然、妃遥さんがため息をついた。
いきなり話変えましたね…。
「靴箱に『死ね』って書かれた紙入ってたし…。」
……私の隣、妃遥さんだったんだ。
悪いことをしたわ。
「な…!?【 】の靴箱に入れたはずなのに…!」
…入れたのはあなたでしたか。
妃遥さんがニヤリと笑った。
「はい、イジメ!」
「あ………。」
どんどん追いつめられていく彼ら。
「妃遥ちゃん…違うんだよ!」
男子が必死に弁解しようとする。
そうね、彼は妃遥さんに好意を抱いてるみたいだもの。
「何が違うの?私達の友達傷つけてさ。…最低。」
……トモダチ?
誰が……………私が?
「中身ぶちまけて死んじゃ―――…」
「ほらほら、チャイム鳴ったよー。席着いてー。」
入ってきた担任が、妃遥さんの言葉を遮った。
飛菜さんの顔が一瞬だけ歪んだ気がした。