SAお題小説

□3人の思い出
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「【 】ー。一緒に帰ろー!」


あれから、私は彼女達と話すようになった。

いや、彼女達だけではない。


「じゃーね、【 】!」

「また明日!」


今までいじめてきた人達も、全員ではないが普通に話しかけてくれる。


「ええ、また明日。」

―――この世界も悪くない。むしろ、楽しいかも。




「ねぇ、私思ったんだけどさ…。」


帰り道の途中、ふと飛菜さんが喋り出した。


「私ね、妃遥がいないと無理。」


「いや、いきなり何?返事困るんだけども。」


これは…いわゆる"死亡フラグ"でしょうか。


「あはは、気にしないで。」


「気にするって!ね、【 】!」


「…でも、私もわかりますわ。」


「…え、【 】も!?」


だって、私もこの2人に助けられたもの。


「2人のおかげで、この世界が楽しいと思えたの。…好きになれたわ。」


「私も私も!妃遥とケンカしたとき、世界が一気につまらなくなったもん!」


なんでしょうね、この告白タイム。


「ま、まあ、私もこの世界好きだよ?でも、このシリアルな空気苦手なんだけど!」


…え?


「妃遥さん、"シリアス"ですよ…。」



「……妃遥ー。空気読めー。」


「ごめーん。」


「…ふふっ。」


「あ、今【 】笑ったでしょー!」


「そりゃ笑うよ、"シリアルな空気"…………ぷぷっ。」


「うるさい、繰り返さないでよ!」


「学年1位が"シリアルな空気"って言ったー!」

「…天然ですよね。」


「うるさーーい!!"弘法も筆の誤り"だ!!みんなしてバカにするなぁぁぁぁ!!」


「あ、今軽く自分のこと頭いいって言ったでしょ!」


「少なくとも飛菜よりは頭いいし!」


「なんだとぉーっ!」


「まあまあ、2人とも…。」










白…………?


…気付いたときには目の前は真っ白。



―――私はこんなときに何を思い出しているのでしょう。


いえ、それよりも、


貴方達に謝らなければならないことがあるの。


―――ごめんなさい。


―――貴方達の大好きな世界、守れませんでした………!




私はこの世界が大嫌いだった。

なのに、あの2人がいたから大好きになれたの。


嫌いだったなんて考えられない。



そして彼の破滅を知ったとき、"魔女になってしまった"私がどうにかしなければ、って思って。



でも、ダメでした。あの人達もあの人達で事情がありました。

何も考えなかった、私が悪いのです。今も、昔も………。




こんな私でも、貴方達はまた仲良くしてくれますか?




―――ねぇ、あの思い出、







「あっちに持っていけるかしら…?」









Fin.
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