SAお題小説
□3人の思い出
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「うぅ…。」
「何?澪羅、泣いてるのー?」
「うっそー!?泣き虫じゃん!」
人気のない公園のブランコに、私は座っていた。
私は大学生にもなって、ここで何をやっているんだか…。
そしてこんなところにいる女子高生達も何をやってるんだか…。
「泣き虫ー!」
「泣き虫澪羅!」
「被害者ぶってんじゃないわよ!」
人気のないような場所に呼び出す、よくあるいじめ。
彼女達はこの近くにある高校の制服を着ていた。
「…くだらないね。」
思わず、本音を言ってしまった。
「なっ!?」
「人いたの!?」
今更私に気付いた女子高生達。
私はブランコから立ち上がった。
「貴方たちが来る前からここにいましたけどね。それにしても、貴方達、いじめはよくないよねー。」
「誰だよ、コイツ…。」
「誰と聞かれりゃ、黙っちゃいれない♪」
どこがで聞いたことあるって?気のせいじゃない?
「おい、コイツ頭おかしいんじゃないの?」
コソコソ喋ってるけど、丸聞こえである。
「いじめるよりマシだと思うけど?…いじめ、かっこ悪い〜。」
「いじめてなんか…!」
「あれれれー?じゃあ、彼女…澪羅さんが泣いてるのは彼女が"被害者ぶってるから"ですかー?」
「う……。」
まあ、そんなもんですよね。
「なぁ…ヤバくね?」
「…行こう。」
コソコソ話してるけど…以下略。
そして彼女達は小走りで去って行った。
「さようならー。」
どうせなら携帯踏み潰すのやりたかったかも…なんてね。
「らーららっらららっらっらー♪らーららっらららっらっらー♪」
うーん、何か気分いい!イッヒッヒ!
「…あ、ありがとうございました。」
さっきまでいじめられていた澪羅さんがそう言った。
まだ少し、目が潤んでいる。
「いえいえ、そんなこと…。」
「澪羅ー!!」
突然、公園の入口付近から声が聞こえた。
「あ…。」
そして女の子2人がこちらに駆け寄ってきた。
彼女達も、同じ制服を着ている。
「里奈ちゃん…美永ちゃん…。」
「こんなところにいた!」
「またいじめられてんのかと思ったよ!」
…………また?
「ううん…大丈夫。」
無理して笑って嘘を言った澪羅さん。
今思うと、"あの子"もそうだったのかもしれない…。
「で、この人は?」
「えーっと…。」
「妃遥です。ちょっと、久々に会ったから話してたんだ。ごめんね?」
彼女の無理に合わせる私。…本当にそれでいいの?
「そうだったんだ〜。じゃ、行こっか。」
「う、うん…そうだね…。」
「じゃあね〜。」
……………今頃2人はどうしてるかな?