SAお題小説

□逃亡
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その夜、"あの人"が何かを持って言いました。


「―――こんな生活はもう嫌!逃げてダメならここを無くすだけよ…!!」


一瞬、何が起こったのかわかりませんでした。でも、すぐにわかりました。

彼女が彼らに向かって投げたものが原因で、部屋は赤く包まれました。


「―――早く逃げて!!」


「でも、No.390は!?」


「大丈夫、私達はもう捕まらない。私は遅れても捕まることはないから…君たちは先に行って、遠くに!」


友達はみんな逃げていく。

でも、兄は動かない。


「フレール!」


「だって、あの人が………!」


「大丈夫だよ、No.210。」


「でも……!」


「フレール!またあとで会えるから…!」


「…わかった!またあとで会おう!」








「――――さようなら、また次に会いましょう…。次は君たちと楽しく過ごせるかな?」









私達兄妹はひたすら走りました。そして、火をつけたのは彼女だけではなかったらしい。


「門は開けてある!そっちへ行くんだ!!」


「わかった!」

「ありがとう!」


施設内は火に包まれていた。


――あと少しで外に…………!


「あとちょっと…!」


そう言った直後、視界が少し暗くなりました。


「危ない!」

「うわあっ!」


誰かに押されて転んだ。


「何す――――…え?」


後ろを振り向くと、燃えている木材の下に、私の兄妹が――――


「嫌だ!!今助けるから…!」


「…た……」


―――兄妹一緒に逃げるんだ!!早く、上の物どかさないと…!!


すると、奥から4、5人が出てきました。

―――手伝ってもらおう!


「ねぇ、手伝っ―――」


「いたぞ!!No.210と211だ!」


「…え?」


こちらに向かって走ってきました。


―――アイツらだ!!


彼らの手にはナイフが………。


「あ……」


「………?」


「さっさと殺せ!」


―――殺、す?誰を?


―――ワタシタチ。





―――嫌だ、死にたくない!!


次の瞬間、私は外へ走り出していました。


「あ、くそ!待て!」


「片方はどうする?」


「ほっとけ。勝手に死ぬだろ。さっさと逃げたやつを追いかけろ!」


「はっ!」
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