小品集

□「べ、べつにそんなこと気にしてなんかいないし」
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「………。」

「……………。」


帰り道。
あの後から千鶴は機嫌が悪い。
いや、機嫌が悪いっつーか…。


「ねえ、平助君…」

「ん?」

「私達って、幼なじみ?」

「まあ…そうなるよな」


小さい頃から何気なく傍にいた。
いわゆる幼なじみ。
俺にとってはこの関係が嫌で仕方ない。
だって、俺は千鶴の事…


「…さっきの女の子に告白…されたんでしょ?」

「…あぁ」

ここで話が途切れた。
千鶴はなにも喋らないし、俺もなに話せばいいかわからない。
でも、


「…断った。」

「え?」


とりあえずこれだけは伝えたか。
俺は、千鶴以外の女の子に興味ねーから。


「そう、なんだ…」


ふわり、と笑って安心したような顔。
千鶴は本当に嬉しそうな顔をしてた。
(……!!)


「平助君、でも本当は嬉しかったんでしょ?あの女の子に告白されて」

「べ、べつに気にしてなんかいないし!」

「ふふっ…説得力ないよ、そんな顔じゃ。」

「ち、千鶴の馬鹿!」

「あ、平助君、待って!!」



俺が早足で歩き出すと千鶴が追いかけてくる。
そして俺の前に来て、


「はい、遅くなってごめんなさい。バレンタインチョコ。平助君には二人の時には渡したかったから。」


総司のチョコより大きな、多分俺だけに作ってくれたチョコを顔を赤らめながら渡してくれた。



自惚れてもいいですか?

(…千鶴っ、話があるんだけど…!)



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