小品集
□「悪かったな好きで…」
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「よし、出来た!」
「姉上、僕にも味見をさせて下さい!」
「ふふ…そーちゃんもダメ、そーちゃんも明日学校で渡すから。」
完成したチョコパウンドケーキを人数分に切り取りながら私の可愛い弟を見る。
すると少しふてくされたような顔。
まだまだ甘えん坊ね…。
「仕方ないわね、じゃあそーちゃん味見して?」
「はいっ、姉上!!」
そーちゃんが一口食べるのを見ながら切ったケーキを包装していた。
「ねぇ、姉上。」
「なぁに?」
「これって…ーー」
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「「「「ぐああおおぉおおぉ…!」」」」
「へっ、モてねー男ががっついてみっちゃんのケーキを食うから喉につまるアル。少しは落ち着いて食べるヨロシ……、ぐあぁあああぁ!!!!!」
水ウウウウウウ!!
辛いいいいいい!!
そんな悲痛な叫びが聞こえる3Z教室。
…紛れもない俺、土方十四朗がいるクラスからだ。
(〜〜〜〜〜っ、)
「テメェらああああ!!うっせえええ!!つーかなに学校に不要物堂々と持ってきてんだ、風紀委員が没収すんぞゴラァ!!山崎、回収しろ」
「土方さん、山崎なら姉上のケーキ食って転がりまわってまさァ」
「山崎ィィィィ!!なにしてんのお前!?」
山崎をとりあえずぶん殴り、たまという奴が持ってきた水を飲んでクラスの奴も少しは落ちついた。
「いけねぇや、土方さん。あんた、姉上からケーキ貰えねえってんでそんな殺気だってんでしょう?」
「なんの事だ」
「クラスのどうでもいい奴らにケーキ配って土方さんには配ってないって事でさァ。愛想つかされたんじゃないですかねェ?」
…コイツの話は無視する事にした。
そも俺はミツバと付き合ってねえよ。
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