お隣さんは王子様
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今日は朝から頭を鈍器で殴られたかのような衝撃的な出来事続きだった。
今まで他人とほとんど接する機会のなかったこのあたしが、今日はクラスメイト2人と会話をしてしまったのだ。しかも相手は王子様こと鳳長太郎君と斜め後ろの席の斎藤君(名前間違ってすいませんでした、本当にすいませんでした)。まままさか亮ちゃん以外の中学生と話せる時がくるなんて…氷帝に入学してよかった!と心の中でガッツポーズをしながら廊下の端っこをコソコソと歩くあたし。
「つ、着いてしまった…」
たどり着いた先は、この学園で1番偉い地位の学生が君臨している生徒会室。そして、あたしがこの学園内で来たくなかった場所ナンバーワンである。まままさか、このあたしがここに足を運ぶことになるなんて…出来れば、いや全力で来たくなかったのに、うう。
そう、あたしはここに昨日出された宿題のプリントを提出しに来たのだ。ドアの前で屍のように体が動かなくなってしまったあたし。どど、どうしよう…なんかノックするのも怖いんだけど。それだけで一生分の勇気を使い果たしちゃう気がするんだけど。
…あああ!やっぱり駄目だ、この扉を開けるなんてあたしなんかにはレベルが高すぎる!やっぱり職員室にしよう、あたしみたいな平民には職員室がお似合いだ。
そう思ったあたしが一歩後ずさりをすると、壁のような物にドンと体をぶつけた。え?後ろに壁なんてあったっけ?
…恐る恐る後ろを振り向くと、そこには目線を合わせるにはあまりにも大きすぎるそれはそれは大きな壁地君…じゃなくて、樺地君が立っていた。
「ぎゃあああああ!」
「…?」
廊下にはあたしの叫び声が遠くまで響いていた。
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