Soul Gray

□過去→今
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リナリーはあれ以来イノセンスの調子を見ながらではあるが、私の部屋にいるようになった。
ルベリエ長官にはエクソシストとして訓練させるべきだといわれているが、
中元帥特権で、今のところへシンクロ率の検査だけしかしていない。



今日もリナリーはこの部屋でリオンと遊んでいる。
ちなみに私はこないだの任務のせいで溜め込んでしまった書類をこなしている。
つーか、こなさないとリオンが怖い。
リオンが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、
決済待ちの書類に判子をポンポン押していく。
その溜まり具合といったら…
ちゃんとこなしていると思っていても、たまりやすい。

















「アスナー、遊ぼー」
「ごめんね、リナリー。もうちょっと待っててね」
「忙しい?」
「うん、ちょっとね」


















子供のリナリーでもわかるのか、この忙しさが。
私がため息をつくと、「大丈夫?」と愛らしい動作で聞いてくる。
優しく頭を撫でるとリナリーは笑った。
リオンはそれをみて「手を動かせば?」といってくるが、
あえて聞こえないふりをしておくことにした。















「ねぇ、アスナ」
「なぁに?」
















私は机の引き出しを開けて、
金平糖を見つけるとそれをリナリーに渡した。
もらってうれしそうではあったが、
当初の予定の質問をするためにもう一度アスナへ視線を向けた。





















「アスナって、どうして教団へきたの?」























リナリーは聞いてみたかったらしい。
私は目を見開いて、とまった。
懐かしいことを思い出した。

もう5年も前のことになってしまったのだ。
と思い出して。

リナリーに悪意はない。
ただただ、純粋に気になったのだろう。


























「私がこの教団に来たのはね3歳のときだったんだよ」



























私は話し出した。


リナリーと同じような傷を負って、
ここへ来たことを。


そして、この本部に救われたことを。
話し出した。

























第05夜 過去






















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