お題
□た行
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―た[隊長]
『隊長!』
「……誰が隊長だよ」
『貴方』
「お前…二字熟語だけで返すな」
コ、コレはまさか…!?
『早速、指令でありますか!!?』
「違ぇよ!全部そこに繋げるな!!』
『何でそんなに嫌なわけー?』
「逆に何でそんなに"隊長"を推してくるんだ」
コイツに羞恥心は無いのか?
『…もしかして、大佐のが良かった?』
「そういう事じゃねぇよ!…真剣に考えて出た答えがそれかよ!!」
『だって、大佐ファンかもしれないから…』
「悪いがお前の期待には一生応えられない」
否、応えたくない。
人としての終わりを迎えそうだ…。
「というか、何で俺が隊長なんだ?」
『え、覚えてないの!?』
「…その言い方からだと、俺が言ったのか?」
『そうだよ!小さい頃に、今みたいな隊長ごっこしてたでしょ?』
……あぁ、小さい頃はしてたな。
今はしてないぞ、お前だけが勝手にしてるんだぞ。
「かすかな記憶はある」
『で、その時に[俺が隊長だから、お前を守るんだ]って!』
「そんなこと言ってたのか…」
『その後に、[でもお前が姫だから、俺は本当は王子なんだ]って言ったよ』
…………そういえば言ったな!
うっわ、俺恥ずかしっ!!!
「それは…その……」
『私すっごく嬉しかったんだよ!…でも、』
「…でも?」
『覚えてないのかなと思うと寂しくて…だから、隊長隊長って呼ぶの!』
少しでも思い出してほしいから…。
「…忘れてたよ、確かに。けどな…想いは忘れてないぞ」
『想い…?』
「その……俺が…お前を好きだという想いだよ…」
『!!』
隊長とは…
幼い頃からの想いを伝えるキーワード。
この定義はこの2人でしか使えない。
2人だけの大切な言葉。
た[隊長] END