お題
□まみむめも
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街灯が綺麗。
彼の誕生日にあわせてプレゼントを買った
のはいいんだけれど、
渡す彼がいなくなっては
無用のもので
店に頼んで作ってもらったイニシャル入りの時計は午前0時をキッチリ指していた。
「なんで…、なんで先にいっちゃうのよぉ……」
19歳の誕生日までは我慢するっていう約束は昨日の事件で無効。
深夜、街に出歩いていた人々にトラウマを植え付けた彼は来年の明日に私との約束を果たすつもりだったのに。
彼が最後に立った場所は今の場所からそう遠くないはずだ。
多分、まだ立ち入り禁止のレッテルが貼られているかもしれない。
それはこの先ずっと剥がれることはないかもしれないけど、
「せめて、街のイルミネーションを一緒に見てくれたら…」
彼が見た最後の街はどこよりも澱んでた…かもしれない。
街の中央のビルの屋上のその下のアスファルトの花束の横に、
乾いたアスファルトが濡れた。
「おめでとう。」
この街は彼からしてみたら人生最大の晴れ舞台。だった。