★Real HOSU sanctuary★
□Patronage
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帰る場所があるから、僕は羽ばたくことができる。
僕は寵愛を受けて、甘く捕らわれた籠の鳥。
籠から出て初めて、その籠の居心地の良さを実感する。
「ジュンス、お前に映画のオファーがきたんだが、どうする?」
仕事帰りの車の中、マネージャーが意味ありげに僕に言った。
「どうするって…断る選択肢ないんでしょ?(笑)」
「ん〜そうなんだけど、事務所もどうしようか?って空気なんだよ」
「どうしてですか?」
「まず、日本の映画で日本人の役だ。完璧な発音を求められる。それに、結構な濡れ場もあるらしいんで、事務所としては難色を示してるんだよ。
もう子供じゃないし、イメージを変えるいいチャンスだとは考えてるみたいなんだが…」
「ぬ、濡れ場っ?!」
そこだけに反応してしまった自分が恥ずかしいが、思わず声を上げた。
「ああ。相手役は日本のトップ女優・白木瞳さんだ」
僕は歌えれば何の不満もなかったけど、他のメンバーに比べて演技の仕事は明らかに少なかった。
それはそれで構わないのだけど、やはり自分が選ばれたコトは嬉しい。
隣に座るユノ兄を見上げると、にっこりと微笑んで大きく頷いた。
その笑顔に後押しされて、「やります!やらせてください!」と答えていた。
宿舎に戻ってからも映画の話で盛り上がる。
「すげーじゃん、ジュンス。白木さんのご指名なんてさ〜」
「聞いてたでしょ?何人も断られたから僕に話が来ただけだって(笑)」
今回出演することが決まった映画は、35歳の人妻と21歳の青年が周りの人を傷つけてしまいながらも、愛を貫くという話だった。
主演の白木瞳さんは決まっていたが、大胆な濡れ場、しかもバックショットとは言え全裸のシーンがあることが原因で、相手役がなかなか決まらなかったそうだ。
そんな時、偶然僕らのDVDを観た白木さんが、僕が台本のイメージに合うと監督に進言し、オファーがきたらしい。
白木さん曰く、僕には「蒼くさい色気」があるのだそうだ。