★Real HOSU sanctuary★

□Patronage
1ページ/28ページ

帰る場所があるから、僕は羽ばたくことができる。



僕は寵愛を受けて、甘く捕らわれた籠の鳥。



籠から出て初めて、その籠の居心地の良さを実感する。









「ジュンス、お前に映画のオファーがきたんだが、どうする?」



仕事帰りの車の中、マネージャーが意味ありげに僕に言った。



「どうするって…断る選択肢ないんでしょ?(笑)」



「ん〜そうなんだけど、事務所もどうしようか?って空気なんだよ」



「どうしてですか?」



「まず、日本の映画で日本人の役だ。完璧な発音を求められる。それに、結構な濡れ場もあるらしいんで、事務所としては難色を示してるんだよ。
もう子供じゃないし、イメージを変えるいいチャンスだとは考えてるみたいなんだが…」



「ぬ、濡れ場っ?!」



そこだけに反応してしまった自分が恥ずかしいが、思わず声を上げた。



「ああ。相手役は日本のトップ女優・白木瞳さんだ」



僕は歌えれば何の不満もなかったけど、他のメンバーに比べて演技の仕事は明らかに少なかった。



それはそれで構わないのだけど、やはり自分が選ばれたコトは嬉しい。



隣に座るユノ兄を見上げると、にっこりと微笑んで大きく頷いた。



その笑顔に後押しされて、「やります!やらせてください!」と答えていた。



宿舎に戻ってからも映画の話で盛り上がる。



「すげーじゃん、ジュンス。白木さんのご指名なんてさ〜」



「聞いてたでしょ?何人も断られたから僕に話が来ただけだって(笑)」



今回出演することが決まった映画は、35歳の人妻と21歳の青年が周りの人を傷つけてしまいながらも、愛を貫くという話だった。



主演の白木瞳さんは決まっていたが、大胆な濡れ場、しかもバックショットとは言え全裸のシーンがあることが原因で、相手役がなかなか決まらなかったそうだ。



そんな時、偶然僕らのDVDを観た白木さんが、僕が台本のイメージに合うと監督に進言し、オファーがきたらしい。



白木さん曰く、僕には「蒼くさい色気」があるのだそうだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ