小説
□ある野良猫の夢
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街外れに一つの古びた館があった。
その館に人間など住んでいるはずが無い、それなのに―
そこの館に『ある目的』を持って集まる野良猫達がいた。
ある野良猫の夢
古びた館の一室、何も無い暗い部屋に比較的に綺麗なベッドが一つ。
そのベッドの上にはタンクトップの小柄な少年が、身体を丸めその小さな身体を更に小さくして眠っていた。
その隣には壁に背を預け少年を見守る様に見つめる男が一人。正面から見て左側の目は髪の毛で隠されている。
定期的に聞こえる少年の心地良さそうな寝息に夢の世界へと誘われそうになっても、その男は誘いを『破壊』し、少年の近くにいる事を願う。男にとって少年は大切な『末っ子』なのだ。
「ん…」
少年の口から言葉が漏れた。
何かを求め空を掴むその様子を見て、男は静かにベッドに近付き彷徨う少年の小さな手を取った。
「換代……」
「な、ぎ…?」
少年の大きな瞳に男が映る。その男の顔は少し曇っていた。
「また…あの時の夢か…?」
「…うん…」
男は少年の頭を慰める様に撫で、いいか?と呟いてベッドに座る。
少年はそれに合わせる様に頭を男に向け、身を任せる。
「また…寝ても良いかな?荒生と一緒なら僕の嫌いな夢も壊してくれる気がして…」
「あぁ…良いぞ…」
ありがとう
少年はそう呟いて目を閉じた。
「荒生、ちょっと話が…おや」
「ん?何だよ水渚」
「しー…為政、静かにして下さい。起こしてしまったら最後、どうなるか解りませんよ?」
「ぁん?……だな」
「あの二人はどんな夢を見ているのでしょうね……」
「一緒に寝れば解るんじゃないのか?俺達兄弟だろ?それくらい出来なきゃ」
「ふふ…そうかも知れませんねぇ」
「とりあえず、換代にふかふかの毛布でも買ってやるか、あれじゃ風邪引くぜ」
「じゃあ一緒に行きます?私は換代に枕でもと考えていたのですよ」
「枕?いらねぇよ、抱き枕ならもう間に合ってるぜ」
「確かに…そうでしたね」
果たして少年はどんな夢を見たのだろうか?
ある野良猫の夢・完
兄弟では無いけど兄弟、この4人好きです。
てれてれ初小説がまさかの敵側(?)でCPに見えるけど違うこの二人だと…(笑)
最初に換代が見た夢が気になる方はまず換代の設定を読み返しましょう。
この4人、むしろ荒生と換代のコンビが好きになってしまったら声掛けて下さい!お友達になりまs(強制終了)