捧げ物
□虹
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雨は止むことを知らず、地を濡らし続けた。
木々は静まり、静寂の森の中、
「…クシュン。」
一人の少女のくしゃみが響いた。
「雨、止まないかな…。」
少女、かごめの願いも空しく、雨は降り続けている。
「何で今日に限って折りたたみ傘、持って来なかったんだろう…。」
この時代には不釣り合いな、言葉。
かごめは、この時代の者ではない。
「犬夜叉…迎えに来てくれないかな?」
儚い願いは雨に書き消されたかのように、彼の姿は一向に見えない。
雨は、激しさを増しながら降り続けている。
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