* B o o k *

□くすぐったい
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ふと目が覚めた。夢を見ていた気がするが、内容は覚えていない。
雀の声がする。
今何時だろう…起きるにはあまりに早い時間だということはわかる。


隣りには、眠っているアカギの姿。
規則的に呼吸を繰り返して毛布が微かに上下している。


穏やかな光景の筈なのに、なんだかふいに切なくなった。

なんだろう…気持ちの置き場がない。
こういう時、どうしたら良い?

寝てしまいたくて、布団を被って毛布を手繰り寄せる。
アカギに背を向け、布の塊に抱き付いて丸くなった。

アカギに抱き付きたいのは山々だけど、起こしたくない。
しかし、どちらにせよこれだけ激しく布団が動いたら起きてしまうかもしれない。

気付いて欲しい
気付かないで欲しい

両方の気持ちが混在して、膨れ上がる。

振り払おうとすればするほど悪循環に陥る。

じんわりと、閉じた筈の視界に黒い何かが降りてくる。

胸が重くて苦しくて、小さな呻き声すら出た。
今までの後悔や苛立ちが一気にフラッシュバックして呼吸が苦しくなる。

なんなんだよこれ…
息の仕方が分からない。

たすけて…たすけて…




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