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□守りたくて。
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知りたくなかった。
知りたくなかった。
もしもお前が、ベザリウス家ではなかったら。
オレがナイトレイ家ではなかったら。
どんなに、幸せだったか────…
****
エリオットは学校の音楽室にリーオといた。
「連弾やるぞリーオ!」
「いつものあの曲だね?」
あの曲とは彼が作曲したという「レイシー」である。
♪〜♪〜♪〜
二人は何回も何回も同じ曲を弾いていた。
そのときだ。
がたんと音がしたのは。
「「!?」」
二人が驚いて音のしたところを見るとそこには髪の長い金髪の女が、ぼけ〜っとした目でこちらを見ていた。
「あ・・・ごめんなさい、寝ていたらあまりにも綺麗な曲が聞こえて思わず・・・」
その可愛らしい顔が
オレからみたらまるで
汚れのない人に見えた。
「もう一度、弾くか?」
「うん」
連弾を弾く手が、いつもと違い震えてしまったのはなぜだろうか。
弾き終わってすぐに彼女は用事を思い出したらしい「ありがとう」と言ってすぐに立ち去ってしまった。
「名前、聞くの忘れてたなリーオ」
「仕方ないよ忙しそうだから」
この学校は広いため会う機会がいつなのかすらわからなさそうだ。
しかし、あの女にまた会いたいと切実に思った。
闇にいるナイトレイ家という運命だからだろうか?
あのときはそれくらいにしか考えていなかった。