Singing voice
□1.悲しき旋律
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純粋に愛するで純愛という。
しかしこの思いは純愛とはいえないものかもしれない。
それはあまりにも純粋過ぎた思い───…
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演習場の隅で響く歌声。
少女が歌うと鳥や動物達は歌声に合わせるように鳴き声をあげる。
まるで一つのオーケストラのように。
「“全てを疑い生きて…何も出来ないただの籠の鳥…”」
サビあたりまで歌って彼女は歌をやめた。
彼女の後ろに少年が立っていたからだ。
長い黒髪に白い瞳。
彼女が最も嫌いであり…大好きな人。
「ネジ…何の用?明日は本戦でナルトくんと闘うんでしょ?」
冷ややかな淡々とした声に少年…日向 ネジは苦笑いをして言った。
「美冬の歌を聞きに来ただけだが」
少女…香月 美冬はその言葉を聞いて少し驚いたが言った。
「あたしはアナタが嫌いなの。だから…去れ」
「去ることはできんな」
「…じゃああたしが去る。というかあたしの歌聞きに来たなんて余裕がよくあるわね…」
そういうと美冬は少し悲しい顔をしてネジを無視して通りすぎて行った。