Singing voice
□3.瞳に映る人
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優しさを押し殺すキミは
どこか切ない。
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美冬は日向家に居候している。
そのためほぼ毎日ネジやヒナタと顔をあわせていた。
「“もう出会うことはないはずだよ。アナタより大切なことがあるから。音のない声で歌い続ける、サヨナラを伝える別れの歌を”」
歌い終わって初めて美冬は横にいる存在に気づいた。
「・・・ヒナタどうしたの?」
「あ・・・美冬さん、ネジ兄さんを見かけましたか?」
相変わらずオドオドしてるなと思いつつ美冬は考える。
「朝に一度きり見たけど・・・今は夕方・・・」
「修行に行ったきり帰ってこないから・・・父上も修行の約束をしていたから心配していて・・・」
「そう・・・」
宗家の嫡子が任務がない彼を心配していて探しに行かないわけにはいかないだろう。
美冬は少し嫌だったが探しに行くことにした。