Singing voice

□4.大好きな人
2ページ/4ページ

「フフ・・・あのときもそうしてオレに歯向かってきたな」

そういい男は崩れ落ちた美冬の喉の点穴をついた。

「・・・!」

声が・・・声がでない!!

歌おうとする美冬、しかし声は出ない。

「まさに…音のない歌声だな」

音のない歌声・・・それに美冬は反応した。

ふとある人の言葉が蘇る。

【音のない歌声でも純粋な気持ちならきっと思いは伝わるさ───…】

あのときから少しも・・・

殺したい人との距離は縮まらない・・・!

純粋な思いなんてあたしにはもう・・・ナイ。

「…憎いか、このオレが!ネジが!!」

倒れたまま眼を閉じている美冬。

徐々に意識が薄れていくのを感じる。

「その程度の気持ちではオレやネジは殺せない!!思い出せ!!…自分の生きる意味を…なんのために歌っている!?」

生きる意味・・・歌う意味・・・復讐のため・・・ネジ・・・殺さなきゃいけない・・・


嗚呼、なんだか目的が曖昧な気持ちで薄らいでいたようだ。

「復讐のために・・・力を求めるんだな!」

それを最後に美冬の意識は途絶えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ