Singing voice
□4.大好きな人
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「フフ・・・あのときもそうしてオレに歯向かってきたな」
そういい男は崩れ落ちた美冬の喉の点穴をついた。
「・・・!」
声が・・・声がでない!!
歌おうとする美冬、しかし声は出ない。
「まさに…音のない歌声だな」
音のない歌声・・・それに美冬は反応した。
ふとある人の言葉が蘇る。
【音のない歌声でも純粋な気持ちならきっと思いは伝わるさ───…】
あのときから少しも・・・
殺したい人との距離は縮まらない・・・!
純粋な思いなんてあたしにはもう・・・ナイ。
「…憎いか、このオレが!ネジが!!」
倒れたまま眼を閉じている美冬。
徐々に意識が薄れていくのを感じる。
「その程度の気持ちではオレやネジは殺せない!!思い出せ!!…自分の生きる意味を…なんのために歌っている!?」
生きる意味・・・歌う意味・・・復讐のため・・・ネジ・・・殺さなきゃいけない・・・
嗚呼、なんだか目的が曖昧な気持ちで薄らいでいたようだ。
「復讐のために・・・力を求めるんだな!」
それを最後に美冬の意識は途絶えた。