桜の記憶

□思い出の桜
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「残念だったな。雅斗」


「窮奇!!」


 桜花の刃を受け止めたのは大量の妖怪と現れた窮奇だった。窮奇は桜花の刃を掴むとそのまま俺を投げ飛ばした。


 俺は空中で体制を取り直し、着地する。それを狙って放たれた窮奇の衝撃波と妖怪の大群は、俺の前に作られた影と水の障壁に阻まれた。


 それが消えると同時に窮奇に向かって光と炎が同時に襲う。しかし、周りにいた妖怪を消し去るだけで、窮奇自身は無傷だ。


「危なかったですね」


「雅斗、平気か?」


「あ〜、窮奇! 鳳凰ちゃんスペシャル攻撃を避けちゃ駄目でしょ!!」


「あなたの炎は一直線すぎて読まれやすい。私の攻撃の方がすごかったですよ」


「かずちゃんだって窮奇に避けられたじゃん!!」


 きゃんきゃんと怒る鳳凰とめんどくさそうにそっぽを向く一貴さん。それを白い目で見る麒麟と征一郎さん。


 助けてくれたのは感謝するけど、お願いだから騒がないでくれ。まぁ、そう言っても止めてくれないと思うけど!


 いきなり煩くなった4人(主に鳳凰)を見て窮奇が溜め息をついてるように見えるのは気のせいだ、うん。


「あっちは四人に任せとこっと」


 なんか、変に手を出した方がとばっちりを受けそうだし。そう完結した俺は再度、藤貴に向き直る。


「もう一度言う。藤貴、歩を返せよ。それと今まで奪った魂も返せ。そいつや被害者は何も関係ねぇだろ」


「……この坊主はまだしも、奪った魂とは何だ?」


 一拍後。


「「「はい?」」」


 俺、麻斗、密が異口同音に叫ぶ。それはそうだ。犯人だと思ってた奴がなんだそれ? みたいな発言してるのを驚かない方がおかしいだろう。


 
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