桜の記憶
□アイディア
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俺の言葉に都筑先生は首を傾げる。
「え!? なんで?」
「実は一貴さんが俺の家に同居する事になりそうなんです。けどなんか今回は一貴さんに会わない方が良いような気がするんです。一貴さんと会ったら何か取り返しのつかないことが起きそうで」
「……」
「そういう事で頼めませんか?」
俺が頭を下げると何とも言えない表情を浮かべた都筑先生がうーんと唸る。
「密にも聞いてみなくちゃ分からないからな」
「そうですか……」
そうだよな。突発的に考えて言っちゃったけど、迷惑だよな。
「すみません。今のは忘れて下さい」
そう言いながらみかんに手を伸ばすと、その手を掴まれた。俺は首を傾げる。
「先生……?」
「俺、ダメとは言ってないよ」
「へ?」
キョトンとしてると、担任がニコリと笑う。
「俺から密に頼んでみるよ」
「ほんとですか!?」
「うん!」
ヤバい。今、先生が天使に見えるよ。天使に。(死神だけど……)
「先生、大好き!! 愛してる〜」
「わ、都筑!!」
思わず抱きつく俺。担任の体は暖かくて懐かしくて……少し悲しい感じがした。
「それじゃ先生。これ食べちゃおう。さっさと食べて黒崎に聞きに行こう!!」
俺の運命がかってんだ。どんなに厚く高い壁がそびえ立とうとも、今の俺には紙同然だ!
都筑雅斗ファイヤー!!