夢への架け橋
□戻れない日々
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『これ、おまじない。大会で速く走れるように』
そう言ってアイツから貰った靴紐。俺にとってそれは宝物で、今でも使っている大事な物だ。
あの頃から俺はアイツのことが好きだった。けど、俺は親友という関係を崩す事を恐れてアイツに伝える事が出来ずにいた。
それでもこの関係は続くと心の中で思っていた。
俺とアイツが別々の奴と付き合って結婚して子供が産まれて、よぼよぼのじいちゃん同士になってもこの関係だけは続くと心の中で思ってたんだ。
少し物足りない。けど、幸せな日々が。
しかし、それは呆気なく崩れてしまった。あの日を境にして。全てが、まるで泡のように。
あの日……アイツの家が強盗にあってアイツを含めたアイツの家族が全員死んだ時から。
あの日を境に俺は平穏な日常を捨てて裏の人間になった。行方不明になってる、アイツを殺した奴を探し出し、復讐するために。