真紅色の育成日記
□こんばんは、真紅色くん。
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「う〜、さむ」
ぶるりと俺は体を震わせながら、家に続く道を早足で歩く。
今は12月。冬真っ盛りであります。しかも今年は厳寒らしく、特に寒い。去年は11月まで出さなかったマフラーを今年は10月から出してたし。
「早く家に帰ってストーブにあたりたい」
駄目だ。家にあるあの赤い暖房器具が恋しい。恋し過ぎる。付けるとあの前から動けなくなっちまうんだけど、あの火傷しそうな感じの暖かさが良い。なんか、ツンデレの女性を見ているみたいで。「別に寒そうなあんたなんかを温めてんじゃないわよ!」的な感じが本当に堪らない。
って、なんかすごい変態発言をしてるな俺。それだけ寒さに思考回路がやられてしまったということだけど。
「やっと着いた〜」
ふうと白い息を吐きながら部屋へと向かう。ちなみに俺が住んでいるのは駅から少し離れた場所にある2LKのマンションだ。
駅から離れているというところを抜けば、家賃も安いし日当たりも良いし、学生という身分の俺にとってはとても良い物件だ。
「ただいま〜」
言っても誰も返事してくれないことは知っているけど、つい癖でやってしまう。そんな自分に苦笑しながら俺は部屋に上がり……ふと違和感を感じた。
(真紅色?)
そうだ。電気が付いてないから黒一色の筈である部屋に真紅色を見たのだ。まだストーブをつけてないし、家に真紅色の物はない。
そんな事を考えていたら、目の前が真紅色一色に染まり、次の瞬間、背中に激痛。首に冷たい感触が触れた。
一瞬の出来事でなにが起こったのか分からない。
よし、現状把握をしよう。
@俺の上に馬乗りになっているこの子供がいる。
Aその子供は、俺に刃物を突きつけている。
Bこの子供、見た感じ小学生位なのに、普通の大人なら裸足で逃げ出しそうな殺気を放っている。
結果、俺は少年に殺されそう。
って、ヤバいだろうこの状況。