真紅色の育成日記
□夢の世界での真実
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「奏――奏」
「う、ん……」
誰かが俺を呼んでいるような声が聞こえた気がして俺は目を開ける。
そこには、緋色一色の世界が広がり、それ以外のモノは何もない。
「どこだ此処?」
さっきまで、アッシュと一緒に布団で寝ていた筈だ。此処はいったいどこだろう。そう思って辺りを見回していると、目の前に金色の光を放った何かが現れ、また声が聞こえた。
「聞こえるか、奏」
「あんた誰?」
「我はローレライ」
「ローレライ?」
きました。また外国の名前です! なんでこの数時間にこんなにも外国人の名前を聞くのだろうか。
「で、ローレライだっけ。ここ何処?」
「ここはそなたの夢の中。少し話がしたくてな。入らせてもらった」
「話?」
「そなたの元にアッシュという名の子供が来ているだろう」
「アッシュを知ってるのか!?」
俺は目を見開く。夢に出てくる時点で怪しいなと思ったが、アッシュの事を知っているなら話は別だ。
「アッシュなら俺の家にいる。誘拐事件なんかに巻き込まれたらしくて俺の家に来るまでの記憶が無いみたいなんだ。お前はアッシュの家の場所を知っているのか?」
「知っている」
「なら教えてくれ。俺の事情で警察には連れて行けないけど、アッシュが一緒にいたっていうヴォンっていう人や親御さんは心配しているだろうし」
それに、アッシュだって顔には出さなかったが、両親に会いたいはずだ。あの年の子供は親に甘えたい時期だろうから早く親御さんの元に返してあげたい。
しかし、そんな俺の願いはローレライの次の言葉で叶わぬものとなる。