真紅色の育成日記
□嬉しい返事
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「ただいま〜」
いつもならそのまま空気に消えてしまう言葉。けど、今日は違った。
「……おかえり」
ぼそりと呟くような声と共に部屋からひょこりと緋色の頭が出てきた。
その姿が飼い主の帰りを待っていた猫のようでとても可愛い。
「ただいまアッシュ。ごめんな1人にして寂しかっただろ」
「別に……」
近付いてきたアッシュの頭をわしゃわしゃと撫でると、彼は顔を真っ赤にしながらそっぽを向く。可愛い奴め。
「そんじゃ、夕食にするか……あ、そうだ。今日のお詫びじゃないけど明日、出かけるぞ」
「どこに?」
「隣町にある大きな店。色々と値段が安いし、あそこに行けばなんでも揃うし。アッシュの物を買わないといけないしな」
「なんかすまない。迷惑をかけてしまって」
しょんぼりとうなだれるアッシュに笑みを浮かべる。
「気にすんな。俺がしたくてやってるんだから。それに謝られるよりお礼を言われた方が俺は嬉しいな」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして。じゃ、夕飯にするか、お腹すいただろ」
昼はおにぎりしか置いていかなかったしな。そう思いながら俺は夕飯の支度をするのであった。