桜の記憶

□目撃者
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「へぇ……ってええぇ!!」


 俺は驚いた。この事件で唯一被害が無いのが俺達のクラスだけだったから。


 そのクラスで目撃者が出た。それだけこの事件が深刻化している事。早く片づけないと取り返しの付かない事になる。


 俺はその目撃者が誰なのか知りたくて歩に訊ねる。


「そんで誰が化け物に会ったんだよ?」


「ふっふっふ〜。聞いて驚くなよ。実は俺で〜す」


「……は?」


「だから、俺。歩様が化け物に会ったの」


 ……胸張ってえばってるところ悪いが、それは全くと言っていい程、嬉しくない事じゃないか?


 俺が心の中で歩に突っ込んでるうちにも、彼は話を進める。


 歩の話によると昨日、彼は塾の補修を受けていて、帰りが真夜中近くになったらしい。


 悪態つきながら家に帰る道を彼が歩いていたら、何処からか近くから悲鳴が上がった。好奇心を押さえられなかった歩がそこに直行すると、今まさに隣のクラスの生徒を攫っていく黒い化け物を見たらしい。





 
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