桜の記憶
□秘密
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「そう言えば親御さんは大丈夫だったの?」
「えっと……まぁ、はい」
俺は曖昧に返事する。
あの後、家に帰った俺は織也さんに一貴さんが此処に来る事を言った後、暫くの間、麻斗達の所に泊まりたいと頼んだ。
織也さんは麻斗達が死神だって知ってたらしくて(ちなみに俺が死神代行やってるのも知ってる)俺の正体がばれないんじゃないかって心配してたけど、一貴さんと一緒にいるくらいなら死神代行を遣っているのがばれても良いと言うと渋々了承してくれた。
「すいません、織也さん!!」と織也さんに平謝りしたのは言うまでもない。
「ここが俺と密が住んでるマンションだよ」
そう言われて指さされたボロマンションを見て俺は苦笑しか出来なかった。
いや〜、よくこんな所、住めるな。というか、ここって貸し出ししてたんだ。そんな事をつらつら考えていると麻斗に呼ばれて慌てて意識を戻す。
「雅斗。こっち、こっち」
「あ、はい!」
歩くたびぬけるんじゃないかと思う位、悲鳴を上げている床を歩いて麻斗がいるドアの前に行く。
「そう言えば麻斗。密は?」
「密なら買い物するって言ってからもう帰って来てるんじゃないかな?」
麻斗がドアを開けようとした瞬間、向こうからドアが開いて密が部屋から出てきた。