桜の記憶
□最後の決着
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最後の決着
「また来たのか。本当にお主は手がかかるのう。雅斗」
その声と共に俺は意識を取り戻す。周りは一寸も見えない闇の中。その中でそれが一際輝いて見えたのは、気のせいではないだろう。
「桜……?」
あの狂わせ桜よりもでかい桜が満開に花を咲かし、花弁を散らしていた。
その美しさをもう少し近くで見たいと思った俺は、それに近付こうとした。しかし、まるで自分の意志が通じなくなってしまったように、手足が動かない。
「なんで……?」
「分からぬか? 今そなたの体は魂のみ。それにその体には兄達の呪縛が巻き付いている。今の力では動かすことは出来ぬよ」
兄達の呪縛? 魂だけ? どう言う事だ? 意味のわからない言葉に混乱していると、ため息と共に、桜の枝に座っていたらしい者が俺の前に降り立った。
目の前に現れたのは、桜の刺繍が入った黒い着物を着た女性。俺は目を見開いた。その人の顔は、俺の女装姿に瓜二つだったから。
「お前は……誰だ?」
「妾はそなた。まぁ、そなたは妾の事を桜花と呼ぶがな」
「桜花!?」
俺は目を丸くする。まさか、こんな形で桜花に再会するとは思ってもみなかった。
……え?