桜の記憶

□みかん
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みかん



「よいしょっと」


 俺は、上靴を履くと隣に置いてあるみかん入りの段ボールを両手に持つ。


 あれから織也さんからみかんを学校に持ってく許可を貰い(というか、無理矢理持たされた)段ボール1個を持って俺は学校に来ていた。


「ほんと重いなぁ。これ」


 家から担いで持って来た為か、腰と腕が痛い。ヨロヨロと教室に行く廊下を歩く。


「あの角を曲がれば、教室だ」

 やっと、この痛みから解放される。そう思って油断していたのが悪かった。


「あ、危ない!!」


「え? って、うわ!?」


 ガッシャーン!!


 俺が角を曲がろうとした途端、向こう側から曲がろうとしていた先生と追突を起こした。しかも、向こうは全速力で走っていたらしい。吹っ飛ばされた俺は近くにあった壁に激突した。

 いってー。廊下は走っちゃだめ、って小学生の時に習わなかったのかよ先生〜。


 痛む頭を両手で押さえた……って、あれ?


「なんで、手が使えるんだ?」

 だって、さっきまで両手塞がってたよね。段ボール箱、持ってたから。


「あ、そうだ。段ボール箱!」

 さっき追突された時に手放してしまったらしい。俺は、慌てて辺りを見回して……見つけた。


 無惨にも潰れた段ボール箱を……。
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