桜の記憶

□笑顔
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笑顔



「えっと、密は……あ、いた。ひ〜そ〜か〜」


 麻斗はキョロキョロと辺りを見回している黒崎を見つけ手を振る。それを見つけた黒崎はずんずんとこちらにやってきた。

 なんだか、怒っているように見えるのは俺だけか?


「都筑!! お前、どこ行ってたんだ。心配したんだぞ」


「ごめん。ちょっとお祓い? をしてて」


「……は?」


 麻斗の言葉に黒崎は首を傾げ、俺は大きなため息をついた。麻斗。それ、付き合わせた俺でも何を言いたいのか分からないよ。


 半眼で麻斗の事を見ていると、それに気付いた黒崎が俺を見てくる。その視線は鋭い。


「なんで都筑が都筑雅斗と一緒にいるんだ?」


「麻斗風に言うとお祓いの手伝いをしてました〜」



 ニカッと笑うと黒崎は脱力する。多分、彼の中で俺は馬鹿のレッテルを貼られただろう。


 まぁ、気にしてないけど!


 俺はニコニコしている麻斗の袖を引っ張る。


「麻斗。そろそろ本題」


「あ、そうだったね。密」


「なんだ?」


 俺達の会話に眉をしかめている黒崎に麻斗は口を開く。


「今日から、雅斗を俺達のマンションに居候させても良い?」


「はぁ!? なんで都筑雅斗を同居させるんだよ!」


 黒崎の言葉に俺は「確かにな〜」と呟いた。


 まだ数日しか会ってない他人同然の俺をいきなり同居させるなんて言ったら誰だってこういう反応するよな。



 
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