真紅色の育成日記
□ベーカリーKASHIWA
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「きみがアッシュ君ね。私がここの店長の柏原美代子。よろしくね」
「……よろしくお願いします」
ぺこんと頭を下げるアッシュの頭を女性がわしゃわしゃと笑顔で撫でている。
彼女が俺のバイト先であり、隠れて定番が何故か柏餅と言うパン屋「ベーカリーKASHIWA」の店長、柏原さん。子持ちの母親とは思えない程、美人で綺麗な人だ。
あの後、柏原さんに訳を話すとアッシュを此処に連れてくることをあっさりと許可された。
流石柏原さん。子持ち? の気持ち分かってる〜。
「それじゃ、アッシュ君は私の家で預かるわね」
「お願いします」
俺はペコリと頭を下げる。ちなみに柏原さんは三人の子供がいる。一番上から高校三年、高校一年、小学五年生だ。
3人共会ったことがあるがとても良い子達だ。流石、柏原さんの子供達。
「多分、そろそろ梓達が迎えに来るはずなんだけど……あ、来た来たあずちゃん。この子ね」
「いや〜、可愛い〜!」
「お姉ちゃん。この子の髪真っ赤っかだけどきれい〜」
ひょこっと店に顔を出したのは長女の梓と末っ子の桃。2人共学校からそのまま来たのか、桃はランドセル。梓は制服にスクールバックと言う姿だ。
なんか悪い気がしたけど、2人共アッシュを気に入ってくれたみたいだから大丈夫だろう。
当の本人であるアッシュは2人に抱き締められ、顔を真っ赤にしながら固まったけど。
まぁ、梓はモデル並に可愛いし、桃も幼さは残っているけど美人だ。今此処にはいないけど、長男の流も男性俳優顔負けに格好いいし。
くそ、なんかこの美形家族+アッシュの近くにいると平凡顔の俺が哀れに見える。嗚呼、目から塩水が出そうだぜ。
「それじゃ、アッシュ君。行こうか」
「アッくん。桃とかるたしよう!」
「あ、あぁ」
「梓。桃。アッシュのことよろしくな」
「「うん!!」」
元気よく返事をしてくれる2人。うん、元気でよろしい。
2人に若干引きずられるように連れて行かれるアッシュを見送ると、俺はバイトに戻るのであった。
その後、バイトが終わって柏原さんと一緒に柏原家に行った俺を待っていたのは、生き生きとした女性陣と哀れんだ視線をアッシュに向ける流とぐったりと疲れ果てたアッシュだった。
お疲れ様です。アッシュ君。