すずらんの花ことば
□おねんねしましょう!!
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「いや〜今日1日で大分総悟になついたもんだな」
近藤は沖田にぴっとりとくっついた花を見下ろして言った。
「俺にかかればこんなモンでさァ」
自信あり気にそう言うと、『はな、そーたんしゅき〜っ!!』
と、花は沖田のズボンをキュッと握りしめ、ニッコリと、バックに向日葵でも咲きそうな笑顔を浮かべて言った。
そんな花の極上スマイルとストレートな告白に流石の沖田も頬を少し赤らめ、目を反らしてしまう。
「おぉそうか!!じゃあ花ちゃんの部屋は総悟の隣にするか」
『そーたんのおとなり、はなうれしーよ?』
「じゃあ決まりだな!」
□■□■
その夜、
沖田が布団を敷いていると、トントントンと襖を叩く音がした。
あまりにも弱い力で叩く音だったので、不審に思い、そっと襖を開けるとそこには、体の半分程もある枕と、可愛らしいウサギのぬいぐるみをギュッと抱きしめた花が立っていた。
「…花?もう寝たんじゃなかったのかィ」
『…ん』
昼間はあんなに明るく元気にはしゃいでいた花だったが、その時とはうってかわって、今は枕とぬいぐるみを小さな手で握りしめ、ひたすらに足元を見つめて無言で立ち尽くしていた。
「どうしやした?」
不思議そうに沖田が尋ねる。
すると、
『あのね、…えっとね、』
と、モジモジしながら呟くように口を開いた。
『はなね、そーたんといっしょ、ねたいの』
「なんだ、そんな事だったのかィ」
沖田はクスリと微笑し、自分の入っている布団の掛布を少し捲る。
「ホラ、早く来なせェ。一緒に寝るんだろィ?」
『ん!ねう!!』
パァっと一瞬で表情は明るくなり、急いで沖田の布団へと潜りこんだ。
先程までのしおらしさはどこへやら、だ。
しかし、そんな所も可愛いと思ってしまう沖田もまた、うっかり彼女の虜になってしまったのだろう…。
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