You're my hero!

□影
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『終わりましたよ雲雀せんぱいぃ〜』


「………僕はいつから校長になったんだい?」


『………人間とは失敗を通して成長するものですよ、先輩。』


「少なくとも僕と出会った時から寧ろ退化してるように見えるけどね。」


『………大器朝成なんです、私。』


「それを言うなら『大器晩成』ね。」




先輩の手には校長欄に『雲雀』としっかり印鑑の押された書類が握られていた



部活疲れで間違えちゃっただけですよ!………………きっと!












毎度のように遅刻、持ち物検査、制服違反やらで呼び出されている私は
最近ではもう自主的に暇さえあれば応接室に来るようになっていた



ここに来れば空調完備、更に美味しいお菓子が食べられる



しかも雲雀先輩といられるなんて、ここはなんたる天国だ





『てっちゃん(=草壁)、今日はいないんですねー。』



その方が私には好都合



「彼、今入院してるからね。」


『ざまぁみろ(それはお気の毒ですね。)』


「………。」




しかし馬鹿でも風邪ってひくんだね、初耳だよ






「まぁ、君は馬鹿を超越した馬鹿だからきっと例外だよ。」


『「ちょーえつ」って何ですか?』


「………。」




だからいい加減にその哀れむ目やめてください





『よしっ!最後の一枚終了しました!!』


「あっ、全部やってくれたんだ。」


『どうせ失敗ばっかですけどねっ!!』




わざとらしく言えば雲雀先輩は何故か愉しそうに笑った



だからその笑顔反則ですって!!



そして仕事が終わったら、この人は私の事を猫か犬かと思っているのか知らないが
頭をなでなでしてくる



最初の頃は鼻血が吹き出しそうになったが
最近は顔が真っ赤に火照ってしまう





どうやら私は先輩の事が憧れから恋愛対象へと移行してしまったらしい



というか、こんな高額物件に惚れない方がどうかしている





チラリと時計を見れば完全下校時刻を3時間も過ぎている




あの屋上で初めて会った頃は半袖だったが今はセーターを着ても肌寒い



外は真っ暗だった



確かに並盛って路地多いし不良多いしちょっと夜は治安悪いかもしれないですけど………。
















「君、歩くの遅い。」





家まで送ってもらうとか私何様だよ





送る、と言われたときの私のパニクる顔はもう思い出したくもない



雲雀先輩の優しさのポイントがイマイチ私には掴めない



馬鹿馬鹿言ったり、頭なでたり



この人は一体何なんだ





そして私は歩くの遅いんじゃなくてアンタが早いんだっ!!


そして+私は部活の用意が重いんだよっ!!





「で、君は何でそんなに後ろを歩くわけ?
僕が送る意味無いじゃない。」

『いや、だって………。』




夜道を二人並んで歩くとか彼女みたいなこと出来ません


ただでさえ私は思い込みが激しいのに、
これ以上近づいたら先輩が私に好意持ってるんじゃないかって勘違いしてしまいそう



だから私にはこの距離感でいいんです










「後ろ下がって。」



『へ?』




下を向いて歩いていた私が前を向けば
















「おい、雲雀。」



え、何スか?この展開





恐持ての兄ちゃん達がズラリ





「てめえ最近他の連中叩きのめしてるからって調子乗ってんじゃねぇか?」



「並盛の頭は誰かきっちり頭に叩き込んでやんねぇとなっ!」













複数人の凶器を持った不良達




コイツ等は雲雀先輩に危害を加えようとしている





行動を起こす理由はそれだけで十分だった






否、考えるより先に私の体は動いていた














ザッ、ザッ、ゴンッ





リズムの良い三拍子音と共に一人がコンクリートに打ち付けられる







「Σてっ、てめえ何者だっ!?」


「雲雀の女か!?」






「君、一体………。」














『並盛中学1年Bクラス薙刀部の夏川瑞希。

雲雀先輩に手を出すつもりなら手加減しません!』
















(………何コレ。)

(カレー粉きらしちゃってたのうっかり忘れてて♪)

(………カレーの味がしないカレー………。)
 

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