短編!

□おはようとおやすみ
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何で今この瞬間に僕が起きたんだろう?
そうかあの人がいなくなったから、か

→とある独りの男の話

思えば君はわがままだった。
いつでも君は物語を作っていて、そのヒーローを僕にして、
まるで煌びやかな舞台の上に自分が立っているような気分になりたかっただけだったんだろう。
(最初から君の夢の中で登場するような人形の様な登場人物にはなりたくなかったよ。)
君と出会ったとき、僕は、正直不安と狂気を感じたよ。
自分が、いかに光になれるか、いつでも考えてる人だと思った。
確かに、人は光りたい。他の人より、誰よりも、光って光って光り輝いていたい。
でも君は少し違って居たんだよ。
その程度じゃない。光りたいだけじゃなく、星に、月に、
自分が世界で一番に心からなりたいと、そう思っている人だったんだ。僕は、その狂気に耐え切れなかった。
(僕は僕だったあの人はあの人だった。勿論君は君だったし、誰かも、誰かだった。)

最初から君は君に都合の良い物語ばかりを語っていたね。
人として君は誰かを思ったことがなかったのかな、
と思っても仕方が無い程だったんだよ。
(僕は思いを伝えるならきちんとその人に伝えていたよ一番誠意が必要だから)

愛とか、誠意とか、光とか。
少なくとも僕はそんなものどうだって良かったよ。
君さえ居ればよかった。心があればよかった。
多分誰一人として心なんて、そんな所どうでも良かったんじゃないかな。
そんな、気障な気持ちの悪いことをさらりと言えるのは多分僕だけだから。
話や名を呼ぶ事に必要な事は好意だけだよ。
(最初の瞬間からをどうか振り返ってそれから人に会って下さい)

君が心から楽しいこと、寂しいこと、悲しいこと、
光のことを話すその人がどうか今度は心から微笑む事の出来ますように。

おやすみ、二度と僕が君にも君たちにも会う事のないように。

「ごめん。好きだよ。でもね、違うんだ。あのころの気持ちとは違う。
また話せば変わるかもしれない。けど、変わろうとして変えた気持ち。
それって、ホンモノ?わからない。こわい。あなたと会った時の自分の心が。」

そう言って、また君が泣かないように。
きっと、君の光に対する狂気は僕の所為だったんだ。ごめんね。本当に、おやすみ。


(終わりと始まり、言葉にすれば簡単だ)(だけど、実感するのも僕には容易かったんだ。)


 

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