短編!

□わるくちとわたし
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あの子はきっと私の心の中を知らない。

→とある女の子の話

君はいつも私を侮辱する。気持ちが悪い、うざい、そんな事を言って私を嫌う。
何もしていない。のに、私は無意識に彼女の気分を損ねる事をしているのだろう。
でも、私は気づいていない。無意識でやっていることだ。
悪口を言われたって、私はただただ気分が悪くなるだけだ。
彼女はむしゃくしゃする度に、私に言えば言い、それを発散させれば良いだけなのだが、
私の場合はそうは行かない。
反論したはしたで、またその倍以上の罵声を浴びるだけだ。
だから私はいつも耐える。
私の心の中をぶつけてやってもいい。
が、私は自分が可愛くて仕方が無いのだ。
自分が傷付く事をわざわざすることは無い。
そう思い、いつも苛々しながら私は無視をしている。
理不尽な理由で悪口を言われようが、私には関係ない。
そうやって耐えていた。
が、私はどうしたものか、人が変わったように彼女に暴力を振るった。
苛立ちが抑えきらなくなった。
死んでしまえばいいとまで思ったのだ。いっそのこと、死ねば、と。
自分の手がじんじんと痛くなり、彼女のあらゆるところから血が流れ出す。
彼女はごめんなさい、と言っていたと思う。実際は、何を言っているのかさえわからなくなっていた。
私は、ゆっくりとその白い首に手を伸ばした。
指に、手に、腕に力を込める。
ごほごほと噎せ返っている顔を見ると、何だか冷静になってきた。
ゆっくり時間をかけて殺す。これが、私の殺人方法なのだ。
そっちの方が、彼女の苦しむ姿を長く見れて、復讐には丁度いい。
すると、いつの間にか彼女は息をしなくなっていた。
案の定息を引き取ったのだ。私は思わず笑ってしまった。
これで、これで全て終わると。

「あははははははははははははははははははは!!!!!!」



可笑しくて堪らなかった。気付いてしまった。
私はあなたが好きだったのだ。


 

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