短編!

□ 弁当のおかずと無限ループ
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(おかずの紙退けたら、下にハンバーグがあった。それだけなんだ。)

「なあ、いー子紹介してくれよ。」

「言うと思ってた。彼女と別れたんだろ?この子いーよ。」

俺に向かってすっと携帯を差し出す。
画面には可愛らしいバカそうな女の子。
ある程度遊んでいて常識の無さそうな。

「へー、いいな。ちょっとこの子と会わせてくんね?」

「いいよいいよー、俺の友達の友達だからちょっち時間かかるかもだけど。」

「あいよー、全然いいよ。」

後腐れの無い関係。
親友とも知り合いという関係だけでもない奴らとある程度つるんで、
ある程度遊んで。その中でもやっぱり分かってる事くらいあるんだ。
”このままだったら何処にも行けない。後ろにも、前にも。”
わかっていても、足踏みをしてしまう。
上でも下でも、左でも右でも、後ろでも前でも無い。
何処かに行きたい。でも何処にも行けない。

「日曜日に会うことになったべー。」

次の日、廊下で笑いながらそう言う俺の友達だって、
内心何を思っているかはまったく分からない。

(仕方なく目の前に見えているおかずで白米を食べ終わった)

紹介してもらったバカそうな女より、
そのバカ女の友達だっていう奴のほうが実は俺好みだったり、
後から俺とバカ女は付き合うようになったり、
その時じつは俺好みの女の子は俺に告白するか悩んでいたり。
暫くしてからバカ女と俺は別れて、
俺好みの女の子は、俺の親友とも知り合いという関係だけでもない奴と付き合っていた。
この世は運命と偶然と必然と少しの同情で出来ている。

(本物の上にある偽物。ブラウン管越しに見える風景は作り物)

「なあ、愛情って必要?」

「必要なんじゃねえの?」

「ふーん…。」

「………なあ、いー子紹介してくれよ。」



(言うと思ってた。)
(彼女と別れたんだろ?この子いーよ。)

 

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