戯言小説。
□クルイザキカイ
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近所にある公園の一角のベンチに僕は座っていた。別に誰かを待っているわけではない。何かするわけでもない。なら、何故座っているのか。理由は簡単。今日は抱きまく・・いや。崩子ちゃんがみいこサンと買い物に出掛けてしまい家に居てものですることが見つからず、ふと大学にでも顔を出そうかと一瞬思ったりしたがその案はすぐに頭の中で破棄になったし、かといって友の家にも行く気にもなれなく、とりあえず外に出たところ・・・・・気がついたらココに居た。ま、言ってしまえばただの暇潰しなのだが・・
軽く伸びをしながら辺りを見渡す。辺りは昨日に降り積もった雪で真っ白になっている。吹き抜ける風も冷たい。
「あ-・・寒い・・。何でこんな寒いんだろ・・まァ冬だから当たり前だけどさ・・。」
溜息混じりにそう呟きふと背後にそびえ立つソメイヨシノを見上げると。・・・・・・何故だかはわからない。が。葉が完全に落ち、侘しいはずのソメイヨシノが
見事に咲いていた。
「・・・・・・。」
目の前に広がる奇怪な光景に思わず目を擦る。
「・・・・・・。」
・・アレ・・これフユザクラだったっけ・・?
木の側にある看板に目をやる。やはりその看板にはソメイヨシノと記されていた。
・・・狂い咲き・・か・・
「・・・戯言・・だな」
そう呟いた直後
「かはは・・可笑しなモンが多いな。京都ってのは。戯言使いの次は冬に咲く桜ときたか」
一人の殺人鬼が
「ったく・・・傑作だぜ。」
僕の隣に立っていた。
……