復活夢

□気持ちが大事
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「飯田くん、分かってる?彼女はまだ未成年で、」



分かってるさ、そんなこと。
云ってくれるな。



「彼女の未来を縛るなんてしたらダメだよ?」



お前も、そんなこと云うのか?
そんな、そんな。



「どうせ彼女も遊びでしょ、チャラいんじゃないの?」



俺の愛する人を汚すな!
彼女は純粋だ。恥ずかしがりやなんだよ!



「飯田くんもそろそろ遊びだって云ってぁげなょ、深入りされてるょ、ぢゃあ、突き放せば?」



五月蠅い!俺は遊びなんかじゃないんだよッ!
本気なんだよ!




最近良く皆に云われる。
僕の彼女は年の差がかなりあるから。

別れなよ、だなんて本当にしょっちゅう。


確かに15は確実に離れてるさ。
未成年だよ。

でも、だからってなんだよ、愛に年齢は関係ないんだよ。



「いい加減現実見なよ」



結局、自分は社会を敵にする事は出来なかった。




──────────────




「皆さん、おはようございます!」



収録の時、彼女…なつめがやってきた。
今日も元気いっぱいで可愛い。

ずっと一緒にいたい。
こんな可愛い子を他の誰にも渡したくはない。


でも────。



「飯田さん、おはようございます!/」



嬉しそうにこっちなんかを見て。
もうすぐ関係が終わるだなんて知らずに。



「あ、おは、よう…」



自分は、冷たくあしらう事しか出来なかった。
直ぐになつめも自分の異変に気が付いた。



「…………ん、」



爪先で立って背伸びをして。
なつめは頭を撫でて欲しかったり、抱き締めて欲しい時に、こんなふうにしてくる。

なつめ、ごめん。



「……後で、ね」



チラッと見えた初めて見るなつめの悲しそうな顔から逃げるように、自分は近藤さんの元へと走った。


お願いだから、なつめ、そんなに悲しそうな顔しないで。

胸が、ちくりと疼いた。



「……頭、撫でて」

「えっと、」



必死に何かを探る様にこちらに寄ってくる。
耐えられなくなって手を持ち上げようとしたら、近藤さんが、それを制した。



「…………ッぇ、」

「ノブ!…何してんの!?」

「……ごめん」



反対しなくて、何時でも応援してくれて、見守ってくれた、
國分さん トッシー 木内さん フッキーは、信じられないという目をしていた。

他のキャストは皆大反対。


なつめが顔に拳を翳した瞬間、トッシーはなつめに駆け寄った。
優しく肩を抱いて、頭を撫でていて。
木内さんは涙を拭ってあげていて。

やめて。
俺のなつめに触らないで。
お願いだから触れないで。


でも、今の自分にはそんな事云う資格なんか、ないんだよ。



「ノブ最低。このまえ、した、て云ってたよね、身体目当てだったんだ」

「あんなにべったりだったのに。なつめ、凄く幸せそうだったのに」

「なつめ、やっと本当に信頼できる人が出来たって云ってたよ、騙したんだ」



違う!
そんなんじゃないのに!
なつめを、本気で愛していたのに。

なつめは、もう言葉に出来ないくらいに泣いていて。



「やっと、本物の…手に入れたと思、た、のに…ッ…やだ、また裏切られて……初めてだったのに、」

「なつめちゃん、こっちおいで?」

「ぐ、ぁう、ふぇ、」



無茶苦茶だ。
回りの言葉で別れるだなんて。

結局、なつめは過呼吸で病院行きになっちゃったし。
収録は先伸ばしになってしまって。




最悪だ。





気持ちが大事



(恋に年齢なんて関係ない)
(だけど世間は気にするよ)
(嗚呼今でもすきだよ、ごめん)









end.

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