復活夢

□ひとつの願い、ふたつの奇跡
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「あーお腹空いたー」



今は学校。
3時間目が終わった後の放課で、丁度お腹が空いて来たころ。

なつめは、バックからお菓子を取り出して、むぐむぐ云いながらお菓子を食べる。


ふと目に入ったのはお菓子のパックに入っていた薄くて安っぽい短冊。

そういえば今日、七夕だっけ。

口に含みながらおもむろにペンを取り出す。
どうせ決して叶う事の無いお願い事を描いて見る。


――風紀委員の雲雀さんと付き合いたい


カチ、とペンのふたを閉める。
我ながらとても恥かしい内容だ。

てかまず誰かに見られたらヤバい。

慌てて修正テープを取り出したら、風がさっと吹いて、短冊を宙に浮かせてしまった。



「ちょ、」



掌で掴まえようと手を伸ばしたら風を切って窓から落ちてしまった。



「ぅゎぁああ!!?」



しまった事が一つ
御丁寧に自分の名前をかいてしまった。

がたたっと席を立ち上がり教室を出た。
そして落ちたであろう場所を詮索する。



「ない…ない…どうしよう」



茂み等をくまなく探して見るも全く見つからない。
涙目になりながら探していると、後ろから声を掛けられた。

いや、名前を呼ばれた。



「高坂、なつめ」

「はいっ!?」



条件反射で振り返り返事をする。
みるとそこには、雲雀さんがたっていた。



「やっぱり、君だったんだ。高坂。声がそんな感じした。」

「はい?」



良く解らないけど向こうはこちらを知っているらしい。
おかしいな、面識無いはずなのに。

ん?てか委員長さんが手に持ってるのって、飛んでった、たん、ざく?



「ぅわああぁああ!!!?それ、ぁああ!」



立ち上がり短冊を取り上げようと近付くもヒラリと華麗に交わされてしまう。

そして雲雀はニヤリと含み笑いをした。



「…君の願い、凄いね…。」

「にゃあああぁあ!」



大声を出して殴りかかろうとすると、雲雀はなつめの手首を掴んで引き寄せた、と思うと頬に唇をぐっと押し付ける。



「ぇ?」



そしてパッと話すと、トンと肩を押されて、短冊を胸ポケットにしっかりしまう。

同時に、チャイムがなった。



「ほら、もう放課終わったよ。教室に戻りな」

「ぇ?え?」



なつめが訳も解らず口をパクパクしていると、さっきしまった短冊をゆびで挟み、ちらつかせた。



「君の七夕の願い、僕が叶えてあげるよ」








そして、その日の夜は、
二人で静かに星を眺めた。








end.

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