復活夢

□ひとつの願い、ふたつの奇跡
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突然、先輩が云った。



「今夜星を見に行きませんかー?」








今日は七夕の夜。
ルッスーリアと七夕についてきゃっきゃ話していたら、突然、フランが先程の台詞を吐いて来た。


普通に行きたかったから了承したら、夜7時に部屋までこい、と云われたから、わざわざ部屋まで出向いてあげている。

そして今に至る。



「来ましたよー」



ドアを軽く叩くと、さほど時間が掛からずにフランは登場した。
ワイシャツにジーパンの至って普通のファッション。

肩には、小さなバックが掲げられていた。



「じゃ、行きますかー」

「うん」



フランに手を引かれ、歩き出す。
7月なのに、気温が以外と低くて、半袖で薄手の服を着ていたなつめには、温かくてとても心地よかった。

なつめとフランはたまに手をつないでそこらへんをふらふらする事が在る。


よく店の人に仲の良い兄妹さんねと言われて、心臓がチクリと痛んだ。

でもそれは自分だけだと思う。

何故なら二人は恋人ではないから。
そればかりは仕方がない。


暫くあるくと、草原が見えて来た。
そして二人でちょこんと座ると、どちらが先といわずに空を見上げた。



「キレーだね…フラン先輩は星好きなんですか?」

「…そうですねー…別に特別好きじゃないですけどー…」

「じゃあ何で僕を誘ったんです?」



まだ繋がったままの手に力が込められた。
多少びっくりして、一瞬自分が強張ったのが理解出来た。

フランは、バックから袋を取り出すと、なつめに差し出して来る。



「こんぺいとう?」

「星に似てますからねー。なつめに、あげますー」



有り難うと御礼を云うと、一応たべた方が良いのかなと袋を開封して、一粒口にほおりなげる。



「ミー、織り姫と彦星にお願いがあるんですー」

「へー、」



何?と目線を送ってみると、おもむろに紙を突き付けられた。



「ミーの願い、叶えてくださーい」



紙を見れば、そこには、一緒に星を見た人と付き合いたい、と記して在った。
それをみたなつめは、顔を赤くすると、空を見る。

フランは表情にこそ出さなかったが、かなりの動揺が読み取れた。



「………………私が、叶えてあげるよ」



立ち上がり、ふわりと微笑んでみると、フランはとても嬉しそうな顔を浮かべた。
なつめは願いを記してあった紙をポケットにしまうと、フランにすり寄る。



「……えへ、ちょっと寒いから、ね」



フランはなつめの手からこんぺいとうを一粒奪うと、自らの口にほおりこんだ。
そして、そっとなつめの唇に自身のソレをぐっと押し付けると、舌でこんぺいとうを相手に受け渡す。



「ん…」

「ミーも、ちょっと寒いんでー、あっためて貰っていいですかー」











月と星の淡い光を受け、二人の影は、一つに繋がっていた。









end.

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