復活夢

□傍にいるから落ち着いて
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「絶対駄目ですー。幾らなんでもそれはミーが許さない」



ボスの部屋で講義をして居るのは、フラン。
そしてその後ろにはヴァリアー幹部になら早一年、新米幹部霧部隊高坂なつめと長い髪が魅力的!?不憫な鮫ことスクアーロがいた。



「……………」



ボスもなつめもさっきから黙ってばかり。



「高坂サンを囮で、敵ボスを落として適当に抱かれろだなんて、あんまり過ぎるとおもうんですよねー。今すぐ取り消ししろよ」



要するにヴァリアーで女はなつめしか居なくて、今回の任務では敵の基地に入るのがとても難しく、女のなつめがボスさんを落として抱かれてるあいだに進入してやろう、と云う事。


そして何故フランがこんなに反対しているかというと、
フランはなつめの彼女。
そして一番のなつめの理解者。

その理解者から、この任務はどのようなリスクを伴う危険性があるかは、分かっている。



「…要は性奴隷じゃないですかー。女の子を、性奴隷なんかに行かせたら、駄目ですー。ミーは反対ですー」

「ボス、俺も今回ばかりは納得出来ねぇ。なつめを外せぇ…」



何度も何度も二人はお願いしていた。



「…ボス、お願いしま「五月蠅ぇ」え?」



ずっと黙っていたザンザスがやっと口をひらいた。
そしてワインを一口飲んだ後に、言葉を続ける。



「…るせぇ…女なんざ普段役にたたねぇんだから使える時に使わないでどうする。なつめはしょせん道具なんだよ」

「!」



一瞬で場の空気が凍り付いたのがわかった。
てか、それ以前にヤバい。
まずい、まずいまずすぎる。



「のやろっ……」



フランはだんっと地面を踏んでザンザスに殴りかかる。
胸ぐらを掴んでさあ殴ろうといったところで思わぬ人物にとめられた。



「なつめ……?」

「もーいーよ………わたし行って来るから、いいよ……………わかってるから、わたしは、道具でしかないって……だから道具のために身体、張らなく…ていいから…だから…………」



そこまで云うと、顔を隠して部屋から出て行ってしまう。
怒りがMAXのフランに、ザンザスが油を注いだ。



「ふん…流石脆い……あんな害虫さっさと殺られればいいんだがな」

「ぼすー、あんたいっぺん死ね」

「てめぇは良いから早く追い掛けろぉぉお!」

「チ、」



舌打ちを落として、その場から退散した。



「っ……うあ…っ……」



なつめの部屋の中から、嗚咽と共に荒い呼吸が訊こえる。
ヤバい。始まってしまった。

慌てて部屋に入ると、なつめはベットの上で枕に顔を埋め、小さく縮こまっていた。

近寄りそっと肩に触れると、大きく跳ねさせ、ドンと突き放された。



「なつめー、ミーですよ、フランですー」

「やだぁっ……ひっ…ぅえっ…えっ……はーっ……あぐっ」



引っ切り無しにきこえてくる悲鳴のような呼吸の仕方に、嫌な汗がしみでてくる。
体制を整え、今度は突き飛ばされないよう、上から跨がりのって、背中に手を入り込ませる。
そして力強く抱き締めた。



「なつめ?なつめ?どうしたんですかー?ミーは此処ですよー?」

「やだやだっ……離してっ…離してよぅ……フランっ…フランがいいの!……あぅあ…」

「なつめっ……」



絶え間なく襲ってくる痛みに顔をしかめる。
無意識なんだろうが殴られるのは嫌だ。

止めてやろうと腕を掴もうとしたその時。



「はっ…ひ……えっ…えっ……はーっ…ひぐ…」

「なつめ?マジで落ち着いて下さいー」



彼女は昔から過度なストレスを持ち続けた為過呼吸を良く引き起こしていた。



「フラ……ッ…やだ、やだぁっ」

「なつめ、ちょっと落ち着きましょうかー、はい、息を吐いてくださーい。今は吸っちゃ駄目ですー。……ちょっと痛いですよー」



なつめのお腹をぐぐっと強く押すと、咳と一緒に空気が出て来る。
又たくさん吸われないように軽く口付をし、唇を優しく食んでやると、段々呼吸が静まり、なつめ自身も落ち着いてきたようなので、優しく抱き締めた。



「ぁ……フラン…?」

「大丈夫ですよー、ミーはあんたを道具なんて思ってないからー、任務だって絶対行かせねぇよー…だから、ミーの側にいて」

「ぇ、あ…」







何がなんでも守り倒して見せるって決めたんだ。

(道具だなんて云わせない)
(お願いだからミーを信じて)
(傍に居るから落ついて)






end.

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