復活夢

□傍にいるからおちついて
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「御父様が、亡くなりました」



自分がこの言葉を訊いたのは、ついさっき。
久し振りに会ってデートをしていた時、突然病院から電話があり、御父様、危篤、とだけ伝えられた。
直ぐにその場所へ向かおうとしたなつめは、すでに気が散ってしまって大変だったので一緒に着いて行く事にした。


案の定。

なつめはつい最近母親を病気で亡くし、父親だけで育てて貰っていて。
あんなにべったりだったから、無理も無い。


いまこの瞬間、なつめは独りぼっちになってしまった。



「……ぅぇ、あ…ぐ」



それを境になつめは、理性を失う。



「ッだ!やだ、やだやだおとーさんッ!!僕を独りにしないで…なつめを置いてかないでよう!!!」

「なつめ、」



以前父親に一度だけ会った事があり、多分、付き合っていることは見透かされての事で。
なつめは泣くと、直ぐにおさめないと呼吸をする時に空気を過度に吸ってしまい、過呼吸になってしまうから、気をつけてみててくれ、と云われていた。


今がその時。


僕は、ぎゅっと抱き締めながら相手の頭を撫でる。
しかし、がしがしと叩かれて自慢の髪の毛がボッサボサになっちまった。

あ、そうだ…前から一部のファンに俺ヅラっつー噂が流れてっけど違うからな、これ、地毛だから。


じゃなくてそれを受け止めるように唯抱き締めて頭を撫でてやった。



「独りじゃない、僕がいるから、独りになんてさせないから、だから、ほら、落ち着いて?」

「やだッ!!やめて!おと、さ…やだ、一人…し、ないでッ」

「独りじゃないよ、ほら、ほら」



なかなか泣きやまない。
この状況はかなりまずいような気がする。
力強く抱き締めて相手を落ち着かせようとする。
でも、完全に意識がなくなり何を云っても訊かなかった。



「なつめ、なつめ…」

「飯田さんッ何処ですか、なつめは、あ…」

「此処にいる、なつめ…」



はー、はーと云う呼吸から、ひく、ひくという感じになっていく。
確か空気を吸いすぎて吐く事が出来ないから、だった筈。
仕方ないので、お腹にぐっと指を埋めた。



「げほ、が、ぁぅ、う」

「こっち向いて、」



ぎゅうと抱き寄せながら相手にキスを落す。
先程空気をむりくり出した為一気に吸おうとする行為を防ぐ為。

相手は、段々落ち着いて来た。



「ぁ…飯田…さ、ん」



相手はくたんとその場で気絶した。


独りなんかじゃないから。
自分がこのこを守るから、
どうかお願い神様。

なつめを幸せにしてあげて。
僕を長生きさせてください。






end.

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