復活夢
□落ち葉みたいに
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今日本は秋から冬にかけて季節が巡り変わって来ている。
今日は、自分が何気なく紅葉がいっぱいある公園に行きたいなぁと呟いていたら、近くで訊いていた藤原祐規ことふっきゅんが、
じゃ、行こうか
と誘ってくれたので、紅葉を見に行っている。
待ち合わせ場所は、近くの駅で会う事になっている。
そして。
「ごめん待った?…ってなつめ早いな、まだ約束の10分前だよ?」
「だって待ち切れなかったし、早く行ったら早く会えるような気がしまして」
「そっか、お待たせ」
えへへ、と笑いながら相手に近寄ると、相手も近寄ってきて頭を撫でてくれる。
僕は、この頭のツボを的確に押さえたふっきゅんのなでなでが大好きだ。
こう、もふもふッて気持ち良いんだよねぇ//
「じゃあ、行こうか。…ん」
「ん、」
手を差し出して来た相手の顔を見ると、相手は少し照れ臭そうにしていた。
嬉しくなってその手を取ると、きゅっと軽く握る。
相手も握り返してくれれば、どちらとつかずに恋人繋ぎに変わっていた。
「なつめは、紅葉とか、好きなの?」
「はい、大好きです!綺麗だし、地面に綺麗な落ち葉が沢山落ちていて、それを踏んで歩くのが楽しくて」
「あ、ちょっと分るかも。たまにカサって音がして踏んだらサクッと鳴る感じが俺は好きかな」
公園についたら中に入って、落ち葉の上に立つ。
その下にある葉っぱを、カッと蹴散らすとカサカサと葉が音を鳴らす。
ひらひらと舞い落ちる葉を眺めるとそっと手を伸ばした。
「?取るの?難しくない?」
「…簡単だよ、落ちて来るのを待つだけだもの。…ほら、取れました」
落ちる葉の位置目指して手を止めると、そこには落ち葉が。
ふっきゅんはそれを見れば驚いているようで、目を丸くさせていた。
「なつめ凄いッ…」
「そうですか…?ふっきゅんも凄いですよ?…色々。カッコいいですし…」
「ならなつめのが可愛い、だよ」
嗚呼幸せだな。
好きな人と過ごす事が出来るし、手だって、繋げるし。
突然風が吹いて木の葉がザッと散って行った。
僕たちは、付き合ってから二つの季節が過ぎた。
春の桜の雨が降り注ぐ中付き合う事になり、夏木々が生い茂る中、初めてキスをした。
あの時は凄く凄く幸せだったのを覚えている。
そして今。
紅葉の季節は何があるのかな。
落ち葉は綺麗だけど、この流れでいくと、幸せみたいに葉っぱが落ちて幸せも落ちていきそうな気がする。
そんなの嫌だな。
「どうかしたの?怪訝な顔なんかして」
不安に思っている自分に気が付いたのか、ふっきゅんは顔を近付けてこちらを覗いてくる。
恥ずかしくなって一歩下がったら、相手はこちらに詰め寄ってくる。
「…この落ち葉みたいに、幸せが枯れて落ちていったら嫌だなって…」
「は?…どゆいみ?」
「……ふっきゅんカッコいいし、僕可愛くないし、分かれる、とか云われたら嫌だなって、」
「…………なつめって本当馬鹿なんだな」
そうやって相手は木に手をついて、キスを僕にしてくれた。
「俺は、なつめの事、愛してるんだから」
落ち葉みたいに
(落ち葉みたいに軽いですね)
(そんな軽い物じゃないよ、俺の愛)
(…ま、知ってますが)
end.