復活夢

□ふわふわした君みたいに
1ページ/1ページ


雪が辺りに降り積もる。

気温はぐっと下がってかなり寒くなるから、冬は好きじゃなかった。
でも、最近は冬も良いんじゃないかと思えるようになって来た。
その理由は、



「ぁ、もしかしてお待たせしてしまったですか!?」



この、鼻とか手とか膝を赤く染めている、俺の彼女なつめ。

可愛い。


一緒にいると幸せな気分になるし楽しい。
それに寒くても、なつめが抱き付いてくるから暖めてくれる。



「ううん待ってないよ、大丈夫」

「そうですか?……御久し振りです」



ほら、今日も又こうして、抱き付いて来てくれた。
自分も背伸びをしてくっついてくる相手を優しく抱きすくめれば、額に軽く唇を弾いた。



「ぁぅ…、飯田さん此処公園ですよ?…人が見てますッ」

「此処には二人しかいないよ?大丈夫だって」

「…ぅー…」



可愛いな。
辺りをキョロキョロしながら自分の服を握ってくる。


でも、前よりは大分慣れて来たのかな。
以前は横に立つだけでこれでもかってくらいに赤かったし。
いや、今でも十二分に赤いんだけどね。



「とにかく、家行こうか。荷物置こう、まさかリュックとサブバで来るとは」

「はい!…枕が変わると眠れない主義でして…」

「今夜は寝かせないぜ子猫ちゃん」

「Σは、はわゎわわわッ///」



ぼふっとなつめの顔が赤くなる。
薄々気が付いてっかもしれないけど、今日はお泊まりをする予定。

大晦日だからついでに初詣に行くつもりでいる。


だからなのかしらないがいつもよりそわそわしてる気がする。
塚いつもよりはわはわしてる。
はわってる可愛いな。


なつめの肩を掴んでこちらを向かせれば、軽く唇にキスをする。



「ぅ、ぇえッ」



人が見てるのに!って云いたげ。
くすりと笑えば、俺は彼女の手を取って家まである。

ここから家まではかなり近い。



「……寒ぃ…」

「僕も…寒いです……」

「家行ったら、温かくなるまで抱き締めてやるよ」

「ぇえッ!?そそんな、ぇっと、」

「熱くなっちゃうか」

「ぅううう」



本当こんな素直で照れ屋な彼女大好きだ。


今まで俺に付き合って来た女は、終始身体目当てで隙あればしようだのやろうだの云ってくる女ばかりだった。
でも彼女は違う。

そんな付き合いをしていたと正直に話したって、大丈夫って云ってくれた。
誘う様に甘えずに唯素直に、好きだから、側にいたいからくっつきたいからと甘えてくれる。


もう愛しくて愛しくて仕方ない。



「どうぞ、あがって」

「ん、お邪魔します」



扉を開ければ、家へ招入れる。
彼女はひょこりと顔を中に入れてから中に入った。

嬉しそうにしながらひょこひょこしている。



「あったけー…」

「ぅゎゎわわわッ」



靴と上着を脱いだ時点でおれらは玄関にいたが、扉を閉めて直ぐに相手を抱き締める。
後ろから抱き締める為表情は見えないが、きっと今は真っ赤になってるだろう。



「どう?あったかい?」

「ぁ…あったかいです!」



うん、熱々だね。
何か最近仕事がいっぱいあってなかなかいちゃいたゃできなかったから、凄くキスしたい。

なつめ怒るかなぁ。
でも、今直ぐしたい。


俺は彼女にこちらを向かせると、顎をくいっと持ち上げ、軽く触れるだけのキスを落とした。

勿論、目を閉じていたがどんな顔してるのか知りたくなって、薄く瞼を開けて見る。


そこには真っ赤になりながらこちらを見る、愛しい人の顔。



「ぁ、あ…」

「こういう時は…目閉じるの」

「んむむッ!」



べ、と軽く舐めてから下唇を軽く食めば、舌をゆっくりと差し込む。
逃げ腰になりながら、きゅっと目を閉じる彼女の腰を撫でれば、びくっと肩が跳ねた。




つつー、と指を這わせて服をたくしあげれば、彼女の中に掌をペタリとつけた。



「………上、触って、いい?」

「駄目に決ってるでしょ、ねぇちょっと玄関で何するつもり?」

「え」



気がつけば背後から豊永さんが有り得ない形相で立っていらっしゃいました。



「トッシー…ぁ」

「ぅゎぁあ豊永さんんッ」



ぴゅーっとトッシーまで走っていくなつめ。
トッシーは、優しくなつめを抱き締めてこちらを見ながら溜め息をついた。


あああ、畜生。
もっといちゃこらしてたかった。



「今日は駄目だからね?全く…」

「まあいいじゃない、行こうか」

「僕豊永さんと手繋ぐぅう」

「ぇ、ちょなつめ〜…………」



さっきから顔を合わせてくれないなつめを追いかけながら、外を出れば白い景色。



「わぁ、雪だ」



それはとても綺麗で、ふわりふわりと地上へと降り立って行った。



「明日の初詣には積もるといいね」

「そうだね」



その雪はまるで…そう。
なつめによく似ていて、少し笑ってしまった。










ふわふわした君みたいに



(この雪が溶けて温かくなった頃には)
(いったいどれだけ思い出が出来るだろう)
(そして)
(どれだけ長い間一緒にいれるだろう)







何時か来る別れに身震いを覚えながら




俺は鍵をかけて走って行った。










end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ