D灰夢
□君は今
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教団に神田ユウが帰ってきて、一日が経過した。
勿論、任務に行っていた自分にも知らされていた。
自分は彼と付き合っている。
僕らが出合うまで、両方は誰とも知り合いという一線はこえられなかった。
でも、二人が出会い、次第に距離は近付いて。
今ではお互いが無くてはならない存在となっている。
──なぁんて、思うのは僕だけかもしれないけれど。
でも、彼は居なくなった。
前世の恋人と一緒に、自分だけを残して。
自分は狂ったみたいに泣いたけれど、ついさっきまでは前みたいに、いや、前よりも感情を無にしていたけど。
彼が教団に帰って来たと云う朗報に、一緒に任務だったチャオジーは気を使って、先に返してくれた。
そして今、なんとなく気まずくて、愛する人に、会えないでいる。
決心を付けて、室長室に入る。
丁度神田さんが、結晶型になり身体チェックを終えた時だった。
「あ、つばめちゃんおかえりー。チャオジーから話訊いてるよ、」
「…た、ただいま、です」
すいー、とリーバーさんの後ろに隠れて神田さんの視界から外れるようにする。
まあ、普通にバレたけどね。
「………おかえりなさい」
「…………………嗚呼」
気まずい…。
神田さんは大好きで、本当に愛してた。でも、さっきも云ったみたいに前世の恋人と一緒に行っちゃって、悲しくて、正面に顔が見れない。
好きだったのは、自分だけ、とかない、よね。
「……………悪かった」
「……な、なにが?」
「さっきコムイから訊いた。…俺が居なくなってびーびー泣いてたらしいな」
「……………」
コムイさん何云ってんだこんちくしょう!!
確かに泣きじゃくりましたけども。
でもさあ、ちょっと酷くはありませんか。
あ、やべ、思い出し泣きしちまう…。
自分が涙目になって下唇を噛んでいると、相手は珍しく頭を撫でてくれた。
しかも、人前で。
「……何するのー」
「なんとなく」
「は?」
訳が分からずに撫でてくる。
乱暴だけど、僕は神田さんの撫でる手が大好き。
頭に?マークを浮かべて見ていると、コムイさんは、口パクでこちらを見つめる。
──分かってあげて、それは彼の愛情表現
…愛情、かな。
目を瞑り、その感触を楽しむ。
何故…こんなに悲しい気持ちになるのだろうか。
お願いです。
彼の いちばん は、誰ですか?
end.