偽人夢
□I think of love so you and me.
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「生、おはよう」
「……ぁ…おはようございます…」
「調子はどうだ?」
「……ちょっとだるい、です」
朝になり、俺は生を起こしに部屋までやって来た。
しかし既に起きてたようで、小説を読んでいた彼女はそれをぱたんと閉じてこちらを見る。
それでも布団を被ったままで、のそりと起き上がったので俺は近くに寄り額に自分の額を合わせて体温を測定した。
「熱は…ないな」
額を合わせたままに彼女の肩をぽんぽんと叩き、その後で軽く抱き寄せる。
その肩は小さくひ弱だったけど、女の子らしいしっとりした肌で良い気分。
…ん?あれ、何かおかしい気がする。
ふと彼女を見てみれば、着物が胸の辺りまでずり下がっていた。
…エロイな!
診察で何度も女の人の身体を見た事があるとはいえ、彼女の身体ともなると一気に何かが終わる気がする。
何も云わずに着物をあげてやり、帯をきゅっと結んでやれば、もう一度彼女を抱き締めてやった。
「ぎゅー…」
「ん」
彼女もまた甘えてくるようで、背中に手が登ってくる。
小さく笑えば、相手の頬に軽く唇を当てて背中を擦った。
生はこちらを向いて小さく呟いた。
「…それだけ?」
くてんと首を傾げた姿に何度もドキっとする。
俺は彼女の肩を優しく触れば、鼻が触れ合うくらいに近づいた。
そして、相手の眼をじっと見つめる。
彼女も、俺を見ればきゅっと軽く眼を閉じた。
なるほど…これが云いたかったのか、とこちらも目を閉じればちょんと口と口を合わせた。
「んー…」
ぎゅーっと抱きつく彼女の唇を軽く舐める。
そして下唇を軽く甘噛みすれば、彼女の口は薄くあいた。
その隙間に舌を差し込めば、温かい舌が待ち構えていたのでねっとりとからませてやる。
「ん…んぅ……」
くちゅくちゅと卑猥な音をたてながら彼女の口の中を蠢き回る。
ふと手に拳を作る彼女が見えたので、俺はその手を取りきゅっとつないでやる。
そのまま指を絡めれば、俺は一度唇を放した。
「ふぁ…ぁぅ…」
「かーわい…」
「んぅ…」
そしてもう一度、今度は噛み付くようなキスをする。
トン、と彼女を押し倒せば横に顔をずらして奥まで舌を這いずりまわせば苦しそうな彼女の表情。
……やっぱりエロいな!
「ん゙ー!んぅ!」
たまに当たる歯もまた心地よくて俺は何時だってその感覚に浸ってしまう。
…嗚呼生は本当に可愛いな。
恥ずかしがりやなくせに本当に俺とこういう事をしたがる。
まぁきっと行為そのものに興味はなく、ただ単に愛し合いたいだけなんだろうけど。
ちゅ、とリップ音を鳴らしながらその唇を離せば、彼女はふらりとしながらとても妖艶な表情をしていた。
「ぷはっ………ぁ…薬馬さんのばかぁ…」
「なんだよ、本当は嬉しかったくせに」
「…ぅー!!」
図星だから反論出来ないのをからかいながら、押し倒したままの彼女の上から退いて手を掴む。
…俺は朝食を呼びに来たんだった…。
何やってんだか。
お互いが愛し合って、愛しくて翻弄されていく。
俺らはお互いを心の支えとして必要としていた。
「ほら、行くぞ」
「…はい、行きましょう!」
えへへなんて可愛く笑う彼女の手を引いてその部屋を後にした。
I think of love so you and me.
(俺は彼女との愛を考える)
(ずっと君と一緒に居たくて)
(そしてまた紡いでいく愛の答え)
end.