わぐなりあ

□だって仕方ないじゃないか
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「そーまさん」

「何?」

「抱き締めて下さい」

「んー…嫌かなぁ」



僕はみなもちゃんをよくこうやって苛めてる。



「相馬さーん」

「何ー?」

「キスしましょう」

「ぇー嫌だー」



甘えるようにこちらを見たあとのこの拗ねた顔がたまらない。
たまに涙ぐんだりもするけど、それがまた可愛くて仕方ないんだよね。


僕は相手の額に指を置くと、ぺしんと軽くデコピンをかます。
相手はあうち、だなんて云って額を押さえた。

やべ、ちょっとそそるね、その顔。



「おませさんだなぁーみなもちゃんは」

「付き合ってるから良いじゃないですか」

「だーめ、お子様にはまだ早いの」

「なッ…私子供じゃないもん」



毎回このやり取りをするけど、もう毎回サロンをきゅっと握って自分に訴えてくる。
でも今日はそれだけじゃなかった。


彼女は、目を伏せて、何時もより震えた声で涙目になっていた。



「相馬さんの…ば、か…」



ぁ…これはもしかしてやり過ぎた?
でも何時もこんな感じなのにどうして今回は、泣くのかな…。

少し焦りながらも、相手の顔を伺おうとしたら、彼女は偶然通り掛かった佐藤くんにひしっと抱き付いて離れなくなる。



「……社?」

「ッさと、さん、そーまさんが、そーま、さんがッ」

「ゎー…佐藤くん妬いちゃうなぁ」



どうやら本気で泣いちゃったみたい。
ぎゅっと強く握る佐藤くんの服に皺が出来る。

佐藤くんはさぞ迷惑そうに僕を見た。



「相馬…お前もうちょっとこいつに優しくしてやれよ」

「ッあーもう分かったよ、取り敢えずみなもちゃん返して?」



いつの間にか野次を飛ばすワグナリアの皆から痛い視線を受けながらみなもを佐藤くんからひっぺがして彼女の顔を覗き込む。
涙を拭おうとすれば、そこには泣き顔なんて無かった。



「ん、!?」



騙された。

ニヤリと笑いこちらを見る彼女は、一度僕にキスをすると、耳元に息がかかる。


彼女は、ふっと笑ってこう云った。



「残念でした…。取り敢えず分かって貰えたようなので早速。…今夜家来ます?セックスしましょうか」

「〜ッ!!?/////」



やられた。
彼女の言葉に、僕の下半身は負けた。

僕は、彼女を壁に叩付けると乱暴にキスをする。
無理矢理口を開けさせると、ぬるりと舌を捩じ込ませる。



「んん!」



解放してやればぷはっと息を出す彼女を見て皆は一斉に僕を叩いた。



「相馬さん不潔!!」

「相馬…お前…………」

「いったい!ちょ、殴らないで!」



涙ながらに上げた視線の先には、みなもが笑っているのが見えた。






だって仕方ないじゃないか



(いつもそんなことしない彼女が)
(色っぽく見えちゃったんだから)
(そして僕は又彼女にキスを落とす)










end.

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